川重、国内初の「水素液化機」商品化で実証実験を開始 播磨工場で

20191205新型液化機システム

 川崎重工業は5日、国内メーカーでは初めて水素を液化する設備の製品化に向け、実証試験を播磨工場(加古郡播磨町)で開始したと発表した。液化水素を1日に約5トン生産する液化機を2020年5月まで連続して運転し、商用機としての性能を確認する。性能が確認できれば同社の製品として発売したい考えだ。さらに今後は製品の大型化もめざし、1日に約25トンの液化水素を生産できる設備も開発、液化機の品ぞろえを拡充する計画だ。(写真は播磨工場に設置した水素の液化システム=川重提供)
 
 日本では政府が2030年度に二酸化炭素(CO2)の国内排出量を13年度比で26%削減する目標を掲げている。有力なCO2対策の方法が水素の活用で、国の水素基本戦略では30年代に年間約30万トンの水素を活用する方針を提示している。こうした動きを受けて、川重ではロケット燃料の液化水素貯蔵タンクを建設した経験や、マイナス162度で天然ガスを液化する技術を応用。マイナス253度で水素の体積を800分の1にして液化するシステムを2014年に開発していた。

 今回、播磨工場で実証試験を始めた液化機は、14年に開発したものよりも高効率で水素を液化できる。液化工程の改良や、設計見直しによる効率化で、液化効率は20%向上。さらに本体重量も30%軽量化し、全体としてコストダウンを実現した。実証試験を通じて、商用機としての信頼性などを確認すると同時に、大型化に向けた液化工程に関するさまざまなデータも取得する計画としている。

 川重は神戸空港島に建設している水素輸入拠点のほか、液化水素を船舶から取り出す「ローディングアーム」など、水素を実際に活用するのに必要なインフラを相次いで開発・整備している。11日にはオーストラリアから日本に液化水素を運搬する実証実験に投入する世界初の液化水素運搬船の進水式を神戸工場(神戸市中央区)で予定している。

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