(解説)2021年12月期、軒並み収益改善の見通し 新型コロナ影響一巡で
- 2021/02/21
- 23:59
神戸市に本社を置く上場会社の2021年12月期予想では、収益が改善する見通しが相次いだ。該当する5社のうち2社が増益、2社が黒字転換の見通しだ。今期の赤字幅拡大を示すカルナバイオサイエンスも、主力2事業のうち創薬事業の売上高を予想が困難として織り込まず、創薬支援事業は品ぞろえ強化で新たな需要の取り込みをねらう。新型コロナウイルスの感染拡大で前期は厳しい1年になったが、影響が一巡するとみられる中でひとまず各社とも収益環境の改善を見込む。
住友ゴム工業は米ニューヨーク州トナワンダの工場で、増産投資に踏み切る。生産能力の強化と、生産性向上のために約128億円を投入。好調に推移しているスポーツ多目的車(SUV)向け高機能タイヤなど、北米での需要増に対応する。前期は新型コロナの感染拡大を受けた都市封鎖の影響で自動車の販売が低迷、これがタイヤの販売も直撃した。その反動の需要にとどまらず、高機能タイヤを志向する消費者が増えたのが追い風だ。
ノーリツは不採算事業からの撤退を完了。同社全体の事業採算が改善したことが業績に表れる見込みだ。中国での販売をいかに立て直すかは課題だが、北米を中心とした海外経済の回復が支えになる。中期経営計画では東南アジアに進出する計画を示した。株主への利益配分も強化し、戦線拡大の体制が整ったことを示した。六甲バターはチーズ販売が引き続き伸びるが、実は「家飲み」はコロナ前から増加傾向だった。
アシックスは東京五輪・パラリンピックが収益を左右するとの見方は多い。ただ「さまざまなシミュレーションを行った結果」(広田康人社長)といい、仮に中止になっても最終黒字を確保する見通しを示唆している。特に世界的にランニングが注目されているのは追い風だ。背景はさまざまだが、各社とも収益が回復する局面であることを強調したのが今期の業績予想。日本企業全体の流れともいえ、いくつかある株高の主因の1つになっている。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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