(解説)神戸空港が開港15周年、新型コロナで試練 国際線への投資は未定
- 2021/02/16
- 02:23
16日で開港から15年を迎えた神戸空港が試練を迎えている。新型コロナウイルスの感染拡大で航空需要が減少。空港運営会社で神戸空港と関西国際空港、大阪国際(伊丹)空港を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)の経営が厳しい状況に追い込まれた。3空港の役割分担などを関係自治体や財界で話し合う「関西3空港懇談会」では、神戸空港の国際線就航について反対意見は出なくなったが、国際線ターミナル建設といった具体的な計画がなかなか進まない。
関西エアポートは5日、2026年3月期を最終年度とする神戸空港の中期計画を公表した。これまで23年3月期を最終年度とする中期計画を示していたが、現状に合わせて見直した。同計画によると21年3月期の利用者数の見込みは149万人だ。新型コロナによる需要減で、期初に想定した376万人の半分にも届かない。就航各社の減便が相次ぎ、実際に発着した便数は通常ダイヤを大幅に下回る事態になっている。
新たな中期計画では、23年3月期の神戸空港利用者を376万人と見込む。従来の中期計画で示した394万人から下方修正した。25年3月期まで利用者数はほぼ横ばいで推移。最終年度の26年3月期に、ようやく395万人と従来計画の23年3月期見込みに到達する。計画が3年遅れる公算だが、実はこれも不確実。新型コロナなど感染症を警戒する世の中のムードは読みづらく、企業が出張を抑制する傾向などが今後どうなるかは未知数だ。
中期計画によると26年3月期までの5年間に、設備投資の総額は36億円を予定する。中期計画と同時に示した22年3月期の単年度計画では設備投資の総額を20億円としており、単純に計算すると残りの4年は16億円で、滑走路や航空灯火などを維持・管理するという、かなりの節約計画だ。経営の柱である関西国際空港で国際旅客が99%減少。20年4〜9月期に178億円の最終赤字を計上した関西エアポートの窮状を映す。神戸の国際線投資どころではない、というわけだ。
それでも地元財界を中心に、神戸が交通の要衝として存在意義を維持するには、国際空港が必須との声は根強い。珍しいケースとはいえ、たとえば足元のように海上コンテナ不足を受けて、航空便を代替手段として使うといった事態が発生したとき、神戸港内にある神戸空港で国際航空貨物をあつかっていれば日本全体にも貢献した可能性がある。神戸にとって神戸空港への国際線就航は、むしろ訪日観光客の話題ではないことを忘れないでおくべきだろう。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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