(解説)2020年12月期、厳しい業績見通し相次ぐ さらに新型肺炎が逆風か
- 2020/02/16
- 22:34
14日に出そろった神戸に本社を置く上場会社の2020年12月期予想では、厳しい見通しが相次いだ。該当する5社のうち2社が最終赤字、2社が大幅減益の見通しだ。利益が急増する見通しの住友ゴム工業も利益の伸びの大半は、前期に海外資産などを減損処理した反動だ。国内外の景気に不透明さがつきまとう中で、各社とも自社製品の需要を慎重に見積もる。さらに肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの影響が、収益に影響する可能性も懸念する。
「マイナスにはなるだろう」。13日に神戸市内で記者会見したノーリツの国井総一郎社長は、新型肺炎の影響について記者の質問に答えた。ただ、収益への影響を現時点で明らかにするのは難しいという。中国で人や物の移動が制限される状況が、いつまで続くかめどが立たない。長引けば当然、「マイナス」は大きくなるというわけだ。さらに個人消費が萎縮するとみられ、中国で以前のような旺盛な需要は見込みづらい情勢だ。
ただ、新型肺炎の影響が強く懸念され始める以前に、今年の収益予想は厳しい。米中貿易摩擦などを背景に中国で景気が冷え込んだうえ、米国も企業収益が減速しており、世界景気の先行きには不透明感がつきまとう。カルナバイオサイエンスのように予想が難しい医薬品候補をめぐるライセンス契約をゼロに見積もるなど個別の事情はあるが、おおむね共通するのは各社とも需要の伸びに慎重な見方を示したということだ。
さらに中国国内での販売への影響や訪日客の減少による国内店舗への影響に加え、足元では国内での感染拡大の懸念もにわかに浮上した。業務を原則としてテレワークに切り替える動きが広がれば、出歩かなくなる分、個人消費なども減少する可能性が高い。家で過ごす時間が増えることで消費行動が変化したり、中長期的にはテレワークを可能にするためのシステム投資を誘ったりと、局地的にはプラスの業種もあるだろうが、経済全体でみれば不透明感は一段と強まった可能性が高い。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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