(寄稿)[神戸鳥瞰虫探し]断捨離、その社会的効果のほどは ゴミ排出量と景気
- 2017/03/12
- 22:15
神戸市民が排出するゴミの量は減少傾向を辿っている。包装を軽量化する取り組みや、分別収集の徹底が排出削減に繋がっていると考えられる。“エコな生活”スタイルが時代のトレンドに合っても来ている。持ち物を必要なモノだけに絞れば、余計なモノも買わなくなる断捨離の精神構造が浸透しつつあるのかも知れない。それでも、神戸市のゴミ収集量と、月次給与の実額推移を比較すれば、それでもやっぱり、ゴミの量は景気のバロメーターだという側面も残っている。
「本市では、神戸市のごみ(一般廃棄物)処理を計画的に進めるために」「『家庭系ごみの指定袋制度』などの減量・資源化施策を導入」「大きな減量・資源化の効果となりました」(「神戸市一般廃棄物処理基本計画年次レポート」2016年10月)。神戸市民が排出するゴミの重量は、ピークだった2000年度が62.1万トン。2015年度は30.4万トン(神戸市環境局)になったので減量に取り組みは急速に進んでいる。
これだけを見れば、環境に配慮した生活様式が定着し始めている。何しろ、この間に人口も世帯数も増加した中での減少だったのだから。神戸市人口は2000年1月で148万6000人、世帯数で58万9000世帯だった。今年1月は153万5000人、71万世帯なので、1人当たりの排出量は早い速度で減容が進んでいる。施策と協力意識の成果があったのは間違いない。
他方、生活者の意識がゴミの排出を減少させた以上に、経済的側面も見逃せない。グラフに示しているのは神戸市世帯の現金収入(6カ月移動平均)とゴミ排出量(3カ月移動平均)の推移。収入の増加がゴミ排出量と連動している様子が観察される。この事実が示しているのは、景気後退に伴う収入減少が消費財の容量調達を圧縮させ、結果的にゴミの量が減っていた可能性だ。
この相関が実際の生活選択に強い影響力をもっているのだとすれば、現金収入が増加に転じた場合、ゴミの排出量は増加に転じる可能性がある。半面、ゴミの排出量から見る限りは景気がなおも低迷状態を続けているとも言える。環境行政側にとって、それ以上に生活者にとっても、ゴミの排出量動向は気がかりな存在であり続けている。(候鳥)
=随時掲載します
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