(寄稿)[神戸鳥瞰虫探し]神戸ビーフに2つのトランプ効果 高級感は高まるか?

神戸鳥瞰虫さがしワッペン

 2008年のリーマンショック後に株価との連動性を高めているものに、牛肉価格動向がある。「神戸」がブランドとして世界で通用している牛肉だが、このところ一段と価格が上昇している。神戸ビーフの希少性などが根底にあるとはいえ今後、価格は一段と上昇する展開もありうる。

20161210株高は牛肉高を指向するか

 農林水産省の畜産物流通調査によると、神戸中央市場で和牛去勢枝肉1キログラムあたり卸売価格は2015年平均で3180円だった。これは全国10カ所ある中央市場のうち最も高い。指定市場18市場(中央市場に準じるものとして農水省が地方市場の中から指定)を含めた平均価格の順位では、2位に姫路(3057円)、3位に加古川(2981円)と上位3市場を兵庫県下の市場が占めている。中央市場平均卸価格は2426円だったので、兵庫で取引される和牛が圧倒的に高価格で流通していることが鮮明だ。

 国内外で人気が高い神戸ビーフだが、需給は逼迫傾向を強めている可能性が高い。神戸ビーフの認定頭数は増加しているというが、兵庫県下での屠畜頭数は減少傾向にある。直近統計になる今年10月の屠畜数は和牛雌、雄、去勢の合計で2582頭。1年前は2856頭、2年前の10月は3394頭だった。2012年の10月には3796頭だったので、4年間の間に1000頭以上も減った。県内の畜産農家が高齢化などで減少するなか、ここ数年の株高が県内畜産農家の高級化路線を後押ししているかのように見える。

 年末にかけては、贈答用として高級牛肉の需要が増えるのが例年のパターン。国内供給が畜産農家の減少で恒常的な逼迫状態に直面しているのを補っているのが米国産冷蔵品だ。急増する米国産冷蔵品は、日常の牛丼など外食や家庭の食卓での需要を満たす形で普及しているが、だからといって国産牛肉すべての生産を贈答品、ギフト市場に回すわけにもいかない。米大統領選後の株高による資産効果は、もともと少ない神戸ビーフを始めとする高級牛肉の価格を、一段と煽ることになるかもしれない。

 発効がほぼ絶望視されている環太平洋経済連携協定(TPP)では、牛肉への関税が38.5%から発効時に27.5%、その後16年をかけて9%に引き下げられることになっていた。関税によって輸入品の国内流通価格が高いままだとすれば、これも国内の牛肉相場を支える要因になる。最近の株高がトランプ次期米大統領への期待感ということであれば、TPP離脱もあわせて2つのトランプ効果から牛肉価格が押し上げられることになる。(候鳥)
=随時掲載します
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