(寄稿)[神戸鳥瞰虫探し]妥協点探しはなおも将来課題 「介護」と「支援」

神戸鳥瞰虫さがしワッペン案

 2016年3月末時点で居宅介護サービスを受けている神戸市民は2万5400人。大阪市の4割水準だ。10年前は6割水準だった。高齢者人口が増加している中での認定者減少は、街の魅力とは何であるのかを考えれば興味あるテーマだ。

 介護保険事業の運営財源は保険料と公費。運営主体者は市町村。介護水準の認定も運営者が行なっている。域内の人口構成には差があり、自治体自体の運営政策などによってサービス内容に地域間での差異が生じるのは避け得ない。その結果を比較すれば、自治体の施策がどう異なっているのかが分かる。

 介護サービスを受けるためには、状況の認定を受ける必要がある。認定は要支援1、2と要介護1~5までの計7段階で下される。7段階の構成比を大阪市の場合と比較すると、神戸市では要介護を圧縮して要支援へ誘導しようとしている姿勢が鮮明だ。2006年には要介護1~3で全体の6割にも達していた。これが直近での構成比は4割を割ってきている。

20160911到着神保さん

 14年4月に介護保険法に改正された後は、より顕著になったように見える。大阪市もかつては同じ状態だったが、いまでも5割弱が要介護1〜3だ。この差が要支援比率の水準に反映されているとみられる。

 支援や介護の必要度を高めない取り組みを進めても、高齢者の増加によってサービス受給者総数の増加は避けられない。2025年には、団塊の世代が丸ごと75歳以上に到達する。運営者の財政的観点からすれば不要な給付を放置しないためにも恒常的な認定見直しや、区分引き下げのための健康維持支援は不可避だ。

 投票権者数が増加する一方の高齢者は、上位認定を得やすい方が優しく遇されていると感じる可能性が高い。その点では大阪市の方が高齢者には住みやすいと感じられるかもしれない。安易な妥協はカネのあるところから原資を調達してくることだろうが、負担増は誰しも望まない。その意味で介護保険は年金以上に制度維持の危うさが漂う。財政面での“住みやすい街”をどう作るかにも直結するかもしれない。(候鳥)
=随時掲載します

▽神戸鳥瞰虫探しバックナンバー
風見鶏は男性を向く? 男女別の人口増減より (2016/08/15)
もともと捉えられていないインバウンド需要どこに… (2016/07/22)
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