指定都市市長会「特別自治市」最終報告まとめる 国など要望活動は”要調整”に

20211110指定都市市長会

【神戸経済ニュース】全国の政令市20市の市長で構成する指定都市市長会(会長・鈴木康友浜松市長)は10日に臨時会議をテレビ会議システムを通じて開催し、「多様な大都市制度実現プロジェクト」の最終報告をまとめた。報告書では、現在制度化されている政令市と、重複した権限を道府県に集めることで二重行政を解消する特別区設置制度(いわゆる都構想)に加え、都道府県と重複する権限を政令市に集めることで二重行政を解消する「特別自治市」も制度化すべきと主張。地域の実情に応じて、ふさわしい大都市制度を選べるように「特別自治市」の制度化を検討した。(画像は指定都市市長会が報道機関向けに公開した会議の様子を伝えるライブ動画より)

 特別自治市では、都道府県が市域内で担当する事務を政令市が吸収。都道府県から政令市が離脱する形になる。海外でも大都市は都道府県のような中間的な自治体に属さないケースが多く、大都市の迅速な意思決定で、都市の国際競争力につながっている点に着目した。広域にまたがる業務は特別自治市と近隣市町村が連携して実施。圏域や地域全体の活性化につながると展望した。特別自治市に移行する際は、どの自治体も消滅せず、合併なども伴わないため住民投票は必須としないことにした。

 制度化には、どのような法改正が必要かについても報告書に盛り込んだ。地方自治法で特別自治市の定義を書き加えるのと同時に、特別自治市を指定するための法律を新たに作る必要があると指摘。実際に条文案も作成した。さらに実現には国の地方制度調査会で議論を深めたうえで、国会議員に対する説明や、経済界との連携が必要と示す一方、指定都市市長会のシンポジウムに加え、新聞、雑誌やネットを通じた発信で、幅広い層に大都市制度の意義の浸透するようめざす必要性も説いた。

 報告書は神戸市の久元喜造市長がプロジェクトリーダーを務め、他に15市の市長が参加した「多様な大都市制度実現プロジェクト」で作成した。ただ、この日の指定都市市長会では総務省や国会議員などへの提案・要望活動については「方法を検討する」という形になった。プロジェクトには不参加だった大阪市の松井一郎市長が、「神戸市が兵庫県から独立する意志もないのに、制度だけ作っても説得力がない」などと要望活動に賛成しない意向を表明。作成していた要望書の案が「市長会の全会一致」として利用できるか微妙な情勢になったためだ。

 久元市長は、松井大阪市長に対して「まったく次元の違う問題」と反論。議長を務めていた浜松市の鈴木市長に加え、大森政夫・岡山市長や松井一実・広島市長が久元氏を支援する発言をした。だが大阪市の松井市長は引かず、今後の要望活動をどうするかは改めて調整することになった。久元市長が退席し、神戸市の枠が画面から消えたのは、その直後だった。気まずいムードになったかと思われたが、神戸市によると「次の公務のため途中で退席することは最初から事務局に伝えていた。松井大阪市長との議論で退席するタイミングがやや遅れた」(企画調整局企画課)ということだった。

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