(解説)LRTどう使う? 神戸がビジネスの場所であるために・年頭に

【神戸経済ニュース】あけましておめでとうございます。今年も神戸経済ニュースを、どうぞよろしくお願いします。昨年は4月に神戸三宮阪急ビルが開業したのに続き、10月には同ビル北側の広場がオープン。三宮再開発が具体的に表れ始めました。同じく10月にはJR西日本と神戸市がJR三ノ宮駅ビルの概要を発表し、これで主要な計画が出そろいました。さらに、その先に目を向けると神戸市の久元喜造市長はLRT(次世代型路面電車)の敷設について言及しています。今回は年頭ということで将来の夢を見ながら、まだ構想段階ですらないLRTについて考えてみたいと思います。

■不便な街・神戸

 神戸の都心部にLRTは、ぜひ必要だ。神戸の中心市街地のオフィスの連なり方を考えたときに、それらの間を結ぶ交通機関が非常に乏しいのは、不合理とさえ言えそうだ。常に黒塗りの自動車で移動していれば気づかないだろうが、たとえば乙仲通にあるオフィスから、ポートアイランドにある神戸商工会議所に向かう場合を考えるとよいだろう。同じ神戸市中央区内にありながら、自動車を自分で運転するか、タクシーを使わない限りは「30分では着かないだろう」というのが率直な印象ではないか。神戸では、窓の外に見えている場所が意外に遠くて不便だ。それをLRTで、つなぐことができる。

20220101オフィス街エリア

 都市の最大の魅力は、いうまでもなく経済活動の自由だ。完全な自由はあり得ないにしても、たとえば中山間地より経済活動への制約が少ないことが都市の魅力だといえる。さらに都市の競争力は、自由度の高さを競っていると言ってもよいだろう。人口の集積があれば、よりニッチなビジネスでも成功しやすくなるので、より好きなことをして生きていけるというわけだ。だから都市にとって人と人の交流は命綱だ。活発な交流こそが経済活動の自由を生み出す。しかし現在の神戸は分散しているオフィス街をつなぐ公共交通機関が、借りられるか分からないシェアサイクルぐらいしかないのは、交流を阻害しているといえまいか。

■分散するオフィス街

 神戸で「都市の回遊性」を議論するとき、なぜか神戸の外から遊びに来る人の視点でしか語られないのが不思議だ。確かに観光という観点で回遊性は重要だし、観光地を効率よく巡回できることは旅行業的な視点では金を生むのだろう。しかし、観光地の「中の人」たちの動きが鈍く、他人と交わらず、コンテンツにイノベーション(新機軸)がないままであれば、観光地としての魅力も次第に薄れていく。普段からポートタワーの目の前で仕事をしている人たちに、わざわざポートタワーを見に行く余裕はない。そういう人たちが求める乗り物こそ、実際の回遊性を生み出すのではないか。

20220101エリア別上場会社

 神戸でのビジネスが不便な最大の理由はオフィス街が分散していることだ。およそ西から「神戸駅・栄町通」「県庁前」「三宮・旧居留地」「ポートアイランド」「小野柄・磯上・磯辺」「脇浜町・HAT神戸」といった具合だ(上の図=神戸経済ニュース作成)。それぞれに上場企業つまり大企業も分散している(表)。それぞれのエリア内は徒歩圏内といえるが、別のエリアへ移動する場合は、隣接するエリアでも徒歩圏内といえるか微妙だ。自転車などがあれば楽だが、客先に出向いて自転車置き場を借りられるとも限らない。東京や大阪であれば地下鉄に、福岡ならバスに乗るところだろう。広島では路面電車が活躍している。

 現在の神戸市営地下鉄や神戸市バスはおおむね、市街地と住宅地を結ぶ路線を結ぶ路線がほとんどだ。地下鉄海岸線の三宮・花時計前〜ハーバーランド駅はオフィス街の異なるエリアを結ぶルートを通っているが、この間に駅が2カ所しかない。駅を遠いと感じる人は多い。何より1本逃すと10分待たなくてはならないという運転間隔の広さが、「ちょっとそこまで」というときに無駄な時間と感じてしまうだろう。やはりビジネス導線としては厳しい。それを思うとLRTの軽快さは魅力的だ。仮に都電荒川線のように日中6〜7分間隔で運転できれば、多くの営業マンが重宝することだろう。

■想定ルート「ショッピング導線」

 そう考えると、自ずとルートも浮かび上がってくるのではないか。ポートアイランドと他のエリアを最短で結ぶとなると、ポートライナーは貿易センター前駅を使うことになるだろう。まずはHAT神戸と貿易センター前駅を結んでみよう。次に海岸線の三宮・花時計前駅がある国際会館前の交差点からJR神戸駅南口までを最短距離で結ぶと、電車は元町商店街の中を進んでいくことになりそうだ。あとは国際会館前と貿易センター前駅を結べば、LRTのルートの候補になるだろう。久元市長はLRTのルートに「三宮と神戸あたりを結ぶ」と言っているが、まさにそういうことになりそうだ。

20220101保存市電

 これは神戸での「ショッピング導線」にも重なる。百貨店など大規模で東京や海外からやってきたトレンドを反映する三宮・旧居留地の商業施設と、老舗の多い元町商店街エリアが便利に、しかも気軽に行き来できるようになる。途中で降りてトアロードを登り、トアウエストの店を巡って神戸発の新たな潮流を探るのも面白いだろう。かつてあった市電のルートの一部とも似ているのが皮肉だ。近くて遠い神戸〜元町〜三宮をどう移動するのか。結局のところ、それが神戸にとって昔からの懸案で、これまで真正面から取り組んでこなかった、ということのようにも思えてくる。(写真は兵庫区の御崎公園で保存している神戸市電の車両)

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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