(解説)三宮再開発 JR三ノ宮の新駅ビル計画、神戸市で5番目の高層建築に
- 2021/10/11
- 01:13

【神戸経済ニュース】JR西日本(9020)や神戸市などが5日に発表したJR三ノ宮駅の新駅ビル計画(下の図)によると、同ビルは完成すれば神戸市内で5番目の高さになる見通しだ。同ビルの完成までには、バスターミナルビル計画の第1期ビルも完成する見通しで、神戸市内の高さランキングで上位に食い込む見込みだ(表)。4月に開業した神戸三宮阪急ビルも含め、三宮の周辺に高さ100メートルを超す摩天楼が立ち並び、景観も大きく変わる見込みだ。
神戸市にある人工構造物としては、最も高いのは明石海峡大橋の主塔で高さは298メートル。日常的に人が出入りする建築物として最も高いのは、神戸市中央区旭町にあるタワーマンション「シティタワー神戸三宮」になる。次に「神戸関電ビルディング」「御影タワーレジデンス」が続く。これらには届かないとはいえ、高さ164メートルのバスターミナル1期ビルと、160メートルJR三ノ宮駅ビルが完成することで、商業・業務機能を持つビルがランキングの上位に並ぶ。
JR三ノ宮の駅ビルは、JR西日本が事業主体として計画した駅ビルでは最も高い駅ビルになる。高さ150メートルの大阪駅ノースゲートビルディングや、同60メートルの京都駅ビルよりも高い。ビルを建てられる面積が小さいため、高いビルを建てて延べ床面積を確保したい考えだ。ホテル、事務所、商業施設の3層にして延べ床面積は10万平方メートルを確保する。ただ延べ床面積は京都駅ビル(23万平方メートル)の半分にも届かない。京都駅ビルのように百貨店を入居させるには狭い床面積にとどまる。
商業施設・事務所の機能に加えて新駅ビルに期待されるのは、鉄道を円滑に乗り継げるようにすることだ。三宮再開発の最大の目標の1つは、JR、阪急、阪神、ポートライナー、地下鉄西神・山手線、地下鉄海岸線の6つの三宮駅を1つの駅のようにスムーズに乗り継げるようにすること。位置的にも中心にあるJR三ノ宮駅でどういった動線を作るかは、スムーズな乗り換えの鍵になる。さらにバスターミナルとの連携や、タクシーや送迎車といった自動車交通への乗り換えをどうするかは、神戸空港との連携を考えるうえでも重要だ。
JR西日本は23年度の着工をめざし、22年度半ばまでの計画の具体化を予定しているとという。都市計画決定も22年度中になる見込みだ。JR西日本、神戸市とともに三宮再開発のコーディネート(調整)には都市再生機構が加わる。渋谷ダンジョン(迷宮)と呼ばれた複数の鉄道駅結ぶ動線を整理し、狭い土地を高層化、重層化することで人が集まる仕組みを作り出したノウハウは、三宮再開発の仕上げにも役立ちそうだ。JR三ノ宮駅の計画が具体化することで、10年後の神戸の姿も輪郭が見えてくる。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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