兵庫日銀短観、全産業DIが2期連続改善 大幅改善も「第3波」リスク要因

20201214日銀短観

 日銀神戸支店が14日に発表した全国企業短期経済観測調査(短観、12月調査)の兵庫県分では、全産業の業況判断指数(DI)が前回調査から12ポイント改善のマイナス19だった。12ポイントの改善は、1987年11月調査(現在の12月調査に相当)で17ポイント改善して以来の大幅な改善になった。ただマイナス19は東日本大震災の際とほぼ同水準。春先の足元の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて悪化した企業の景況感は、足元で大きく改善したが、なお厳しい状況が続いている、といった様子が浮き彫りになった。

 調査期間は11月11日〜12月11日。兵庫県内の330社が対象で、回答率は99.4%だった。業況判断DIは景気が「よい」と答えた企業の割合(%)から、「悪い」と答えた企業の割合(%)を差し引いて算出する。

 製造業の業況判断DIはマイナス23と、前回調査から14ポイント改善。輸送用機械のうち「自動車」が11と、前回に比べて44ポイント改善したのを中心に、「鉄鋼」「非鉄金属」など自動車関連に景気の改善が波及した。半面、内食需要の高まりが一巡して「食料品」がマイナス23と前回比1ポイント悪化。輸送用機械のうち航空機部品を含む「造船・重機、その他輸送用機器」がマイナス50と8ポイント悪化した。

 非製造業では、前回まで2回連続で対象の全社が景気が悪いと答えてマイナス100が2回連続した「宿泊・飲食サービス」の景況感がマイナス66と34ポイント改善。政府が個人消費を喚起する「Go To トラベル」「Go To イート」といったキャンペーンが景気を下支えしたのが浮き彫りになった。このほか経済活動の再開で「卸売」「小売」の景況感も改善が目立った。

 ただ、業況判断DIの数カ月後を予想する「先行き」が全産業でマイナス22と、今回の「最近」に比べて3ポイント悪化する見通しだ。設備投資の抑制などを背景に「はん用機械」の景況感が大きく悪化する見通しになった。2020年度の業績見通しを見ても、経常利益は35%減の見通し。前回調査時と比べて改善したとはいえ、改善幅は0.9ポイントにとどまる。先行きについては必ずしも楽観的ではないようだ。

 加えて調査期間のうち、多くの回答は11月中に回収を済ませていた。このため足元の感染拡大、いわゆる「第3波」の影響は限定的という。記者会見した長江敬支店長は、感染対策の影響で経済活動が制約を受ける中、「第3波は景気の下押し要因になるため、回復傾向が継続するか注視したい」と強調した。記者会見の内容は終了後に日銀神戸支店が明らかにした。

 同時に日銀は12月の金融経済概況も発表。兵庫県の景気については「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるが、徐々に持ち直している」との見方を据え置いた。前月までは3カ月連続で、景気判断を引き上げていた。

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