兵庫日銀短観、全産業DIが7四半期ぶり改善 記録的低水準も「一部で持ち直し」
- 2020/10/01
- 23:02
日銀神戸支店が1日に発表した全国企業短期経済観測調査(短観、9月調査)の兵庫県分では、全産業の業況判断指数(DI)が前回調査から1ポイント改善のマイナス31だった。リーマンショック直後の09年12月調査(マイナス35)以来10年半ぶりの低水準になった前回調査に比べてマイナス幅が小幅ながら縮小し、2018年12月調査以来7四半期ぶりに企業の景況感が改善した。新型コロナウイルスの影響を受けて事業環境は厳しい状況だが、景気の悪化は一服した様子が表れた。
調査期間は8月27日〜9月30日。兵庫県内の331社が対象で、回答率は99.7%だった。業況判断DIは景気が「よい」と答えた企業の割合(%)から、「悪い」と答えた企業の割合(%)を差し引いて算出する。
製造業の業況判断DIはマイナス37と、前回調査から横ばいだった。前回調査は業種別DIがすべて悪化したが、今回は「ゴム製品」「はん用機械」「業務用機械」「食料品」といった業種で改善。「石油・石炭製品」など悪化が続いた業種もあったが、一方向の悪化が止まった形だ。非製造業はマイナス23で、前回から4ポイントの改善だ。「小売り」「物品賃貸」「運輸・郵便」などの改善が目立った。半面、宿泊・飲食サービスでは回答した全社が「景気は悪い」と答えてDIのマイナス100が続いた。
業況判断DIの数カ月後を予想する「先行き」がマイナス31と今回の「最近」と同じ数値になった。業種別では、輸送用機械の「自動車」の先行きが33ポイント改善して0になる見通し。記者会見した長江敬支店長は、足元の景気について、新型コロナウイルスの影響で「厳しい事業環境が続いているが、一部で持ち直しの動きも確認できた」と指摘した。
一方で、2020年度の事業計画では全産業の経常利益は35.6%減と、前回調査から29.0%の下方修正と大幅な引き下げになった。前回調査時点では事業環境の見極めが必要として、業績予想を見直していなかった企業が、新型コロナの影響を織り込んだ今期予想を示し始めたもようだ。売上高も全産業で6.1%減と、前回調査費で5.0%下方修正になった。
雇用人員判断DIは「過剰」「不足」でみてプラス3と、前回調査のマイナス4からプラスに転じた。特に非製造業で人手不足感が強まった。資金繰りDIはプラス9と、前回のプラス11から悪化したが「楽である」が「苦しい」を上回っている状況が継続。金融機関の貸し出し態度DIはプラス22で「緩い」が「厳しい」を引き続き上回った。金融面では依然として緩和的な環境であることを示す。総じて日銀神戸支店は、目先の景気底割れが想定される環境ではないとみている。
記者会見の内容は終了後に日銀神戸支店が明らかにした。
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