久元神戸市長に聞く(2)「神戸からユニコーン企業を輩出したい」

=(1)から続く

--阪神淡路大震災の復興事業としてスタートした神戸医療産業都市は、目立った存在になっています。

 「神戸医療産業都市は20周年を迎えます。我が国を代表するバイオメディカルクラスター(医療関連企業・研究機関などの集積地)になったのは、経済政策の1つの成果といえるでしょう。今後は集積した大学や研究機関、病院などのシナジー(相乗)効果をどう発揮するのかが大事になっています。また海外に対する情報発信も不十分だと考えています。そこで今年4月、神戸医療産業都市推進機構を立ち上げて(がん免疫療法の研究者でノーベル賞候補にも名前が上がる)世界的にも著名な本庶佑先生に理事長に就任していただきました。国際的にどんどん発信していただきたいと思っています」

20180706久元市長に聞く2

 「健康・医療に続く産業として、航空機部品、ロボット、水素・エネルギー関連などが集積の期待できる産業、さらに次の産業として海洋産業が挙がっています。これまでの経緯から神戸にシーズ(種)があり、神戸の立ち位置からみて発展可能性がある分野ということですね」

--振興する産業は「未来志向」ということですか。

 「進取の気風は神戸市民のDNAだと思います。神戸を含む明治初めの開港5港から、さまざまな海外のものが入ってきた。これを神戸市民は受け入れて、咀嚼(そしゃく)して、新しい商品やサービス、風習を作ってきました。現代にも継承し、開花させることは大事だと思います」

 「フロンティア精神という言葉は古いかもしれませんが、根付いてきた産業を墨守(ぼくしゅ)するのではなくて、そこを土台にしながら全く新しい発想を取り入れて、新しい『産業フロンティア』を構築していくことが重要だと思っています」

 「神戸市のスタートアップ(起業家・ベンチャー企業)支援も、そうした考え方で取り組んでいます。(神戸市内の起業家に限定せず)全世界からスタートアップを募集し、神戸をスプリングボード(飛び板)にして、グローバルに羽ばたいてもらう。そうした開かれた精神で取り組んでいます。できれば神戸からユニコーン(評価額が10億ドル超のベンチャー企業)を輩出したい」(下の写真は神戸市が支援したスタートアップ企業による資金調達を目的とした会社説明会「デモデイ」=神戸市提供)

20180704デモデイ(神戸市提供)

 --神戸には、東京経由でない独自の海外ネットワークが必要ということですか。

 「そう思います。アジア太平洋の大都市は優れた人材を集めるためのグローバルな競争をしています。優れた人材が集まっていく都市は成長するし、成長する都市には相乗的に優れた人材が集まります。成長の原動力が内向きである都市は、成長が持続しないと私は思います。常に外向きのマインドを持っていたからこそ、神戸は日本を代表する都市になったのであり、外向きのマインドをもとにした政策を着実に展開することが神戸の発展につながると私は感じています」

 「新たに構想している海洋産業クラスター(集積)も、海のものとも山のものとも分からないのですが、スコットランドとのご縁ができつつあるなか、新しい産業分野に挑戦して行こうという気持ちからです」


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