久元神戸市長に聞く(1)「ひたすら経費節減、そろそろ限界か」

 1998年に始まった神戸医療産業都市は、構想から20年で国内有数の医療産業の集積地になった。2016年に始まった米ベンチャーキャピタルの「500スタートアップス」との連携で、起業家支援でも神戸市は独特の存在感を示している。こうした神戸市の経済政策はどういった発想に基づいているのか。また何を目指しているのか。神戸市の久元喜造市長(写真)に経済政策について聞いた。(聞き手は神戸経済ニュース 山本学)

 --そもそも神戸市が展開する経済政策には、どういった意味があるのでしょうか。神戸市の政策の中で、経済政策の位置付けを教えてください。

 「まずは財政面での意義です。(1995年に発生した)阪神淡路大震災後の約20年間に神戸経済は3つの試練と戦う必要がありました。まず突然の地震への対応、次に復旧・復興、そして財政危機です。神戸市は財政危機に立ち向かうため、震災後に職員数を33%減らしました。全国平均である16%減の2倍を超すペースで職員を削減し、つまり経費節減によって財政の健全性を回復したのです。このやり方は、そろそろ限界ではないかと思っています」(グラフに神戸市職員定数の推移)

 「財政のためにも、ひたすら経費を削るのではなく、税収を増やしていかなくてはならない。街を成長させるということですね。神戸経済を成長させて、成長の果実を企業が受け取り、市民が受け取り、財政も受ける。財政が受けた果実を将来に向けた投資に充て、さらに果実につなげるという好循環を確立させなければならない。都市を成長させるのが経済政策です。こうした財政面での位置づけが1つにあります」

20180706神戸市職員定数の推移

 「これは部分的には効果が出始めていると思います。三宮再整備、神戸市庁舎2号館の再整備を打ち出したことなどによって、地価が上昇を始めました。地価の上昇が良い面ばかりでないことは承知していますが、経済の活性化という観点では地価が下がり続けるよりも、はるかに良いといえるでしょう」

 --財政面以外での意義は何ですか。

 「それは神戸市が日本を代表する都市として、国の産業政策の一端を担っているということです。歴史的に見て、神戸は国の施策だけで、かつて5大市(横浜、名古屋、京都、大阪、神戸)と呼ばれたような、大きな都市として成長したわけではないと思うのです。第2次大戦前から自治体としての神戸市が政財界と密接に連携をはかり、神戸を発展させてきた歴史があります」

 「戦後も『株式会社神戸市』と呼ばれたように、神戸市自身が実施主体として、さまざまな事業を展開した歴史があります。もはや『株式会社神戸市』の手法で市政運営をできる時代ではないと思いますが、神戸市は政令指定都市として産業振興の役割を、これからも担い続けなければいけない。これは神戸市が周辺の市町と違う点だと思います」

20180706久元市長に聞く1

 「戦前、日本はアジアの中で唯一、発展した国でした。当時の日本が発展した原動力は、間違いなく大都市なのです。戦前の6大都市(5大市と当時の東京市)がリードして日本は発展できました。そのとき6大都市の役割は、人口が増えたから医療や福祉、教育といった住民サービスを提供する、というだけではなかったのです。当時としては、きわめて高度なインフラ整備をして、産業を集積させました。これが我が国全体の経済をけん引するとともに、周辺都市を含めた地域の権益を拡大しました。このミッション(使命)はこれからも、はたし続けるべきではないかと思っています」

--そうした役割を果たすために、まず必要なことは何ですか。

 「神戸の経済政策を考える際に、まず基本になるのは、神戸が港を開いたことによって日本を代表する都市になったということです。12年前に神戸空港が開港して、陸海空の交通の要衝になりました。交通の要衝であるということが神戸の発展の原点であり、未来を見据えても神戸発展の原動力であり続けると考えています。従って阪神高速湾岸線の(六甲アイランドから)西方面への延伸、神戸西バイパスの早期完成、神戸空港の利活用という形で、陸海空の交通をつなぎ合わせ、大阪方面や西日本方面の人や物の動きを増大させる。これが1つです」

 「もう1つは産業振興に対する考え方です。『ものづくり』が神戸経済を支える柱であることは変わらないのですが、動きの速いグローバル経済の中で製造業も不断の変化が求められています。これは行政が旗を振るのではなく、(神戸市に本社や大規模な拠点を置く)川崎重工業、三菱重工業、神戸製鋼所、三菱電機といった世界をリードする企業が既に取り組んでいます。これらの動きに合わせて、神戸全体の製造業をどう進化させるか、というのが行政としての課題です」=(2)に続く

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