キムラタン、不振の子供服を大幅縮小 買収で不動産拡大・今期最終赤字5.2億円に

20220215キムラタン

【神戸経済ニュース】キムラタン(8107)は14日、少子化で赤字が続いていたベビー・子供服が主力のアパレル事業を大幅に縮小し、不動産事業を強化する事業内容の転換を発表した。アパレル事業は約220店ある店舗のうち95%に相当する約210店を撤退。製品はベビー向け、女児向けのブランドや商品に絞り込み、販売はネット通販を中心にする。一方で不動産事業では全国に約70棟の収益物件を所有する和泉商事(堺市堺区)を買収。不動産を新たな柱に据えて、収益を立て直す。

 キムラタンは1925年の創業からベビー・子供向けのアパレルを主力事業として、自社で製品を企画、デザインして製品を提供してきた。ただ少子化による市場規模の縮小で競争も激化し、2022年3月期まで7期連続で最終赤字を計上する見通しだ。このためアパレル製品を強みがある分野に絞ったうえで、生産や販売の数量を大幅に絞り、値引き販売も抑制。より採算を重視した事業運営に切り替える。店舗撤退と事業縮小に伴い、撤退店の販売員に退職を促すほか、本社要員も約6割の40人程度を削減したい考えだ。

 子供向け事業でも、19年3月に買収したベビー・子供向け衣料雑貨を卸売りする「中西」の事業は継続し、拡大する方針だ。同社の21年4〜12月期は製品の価格競争力などを背景に、売上高が前年同期比21%増と好調だった。このほか受託も含め5園を運営する保育園事業は継続し、IoT(センサーをネット接続した常時情報収集)を活用した保育施設向けの園児見守りサービスは強化。同サービスは全国展開をめざす。

 新たな収益の柱は不動産事業を想定。キムラタンは21年2月に姫路市内の賃貸マンション2棟、賃貸倉庫1棟、戸建て住宅8棟の収益物件を取得。入居率はほぼ95%と高く、足元でも収益は堅調という。さらにキムラタンは和泉商事の買収によって、不動産の事業規模を拡大する。和泉商事の全株式は4月1日付で取得し、23年3月期の期初から連結対象になる。取得価格は明らかにしていない。

 全国およそ210店舗の撤退と事業縮小を22年12月までに終え、23年1〜3月期は四半期で見て黒字化、24年3月期は年間でも黒字化したい考えだ。14日にキムラタンが発表した21年4〜12月期の連結決算は、連結最終損益が3億8700万円の赤字(前年同期は2億6000万円の黒字)だった。夏場の販売不振と、在庫の値引き販売が響いた。売上高は前期比12%減の30億円、営業損益は3億6000万円の赤字(前年同期は3億円の赤字)だった。

 同時に22年3月期の連結最終損益が5億2000万円の赤字(前期は2億9000万円の赤字)になりそうだと発表した。従来予想である2億3000万円の赤字から下方修正し、赤字幅が拡大する。秋冬物の立ち上がり時期である10月に気温が高かったせいで、秋冬物衣料の販売が苦戦。在庫の値引き販売につながり、売上高が想定を下回ったうえ、採算も悪化した。売上高は前期比13%減の41億円、営業損益は4億8000万円の赤字(前期は4億3700万円の赤字)を見込む。従来予想は45億円、2億1000万円の赤字だった。

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