エア・ウォーター、「歯の神経」再生医療で幹細胞バンク設置 超低温で冷凍保存

20200902歯髄幹細胞バンク

 産業ガス大手のエア・ウォーターは2日、歯の神経と呼ばれる「歯髄(しずい)」の再生医療を手がける子会社のアエラスバイオが同日から、抜いた歯などから採取した歯髄幹細胞(歯の神経の細胞)を培養して長期間保存する「アエラスバイオ歯髄幹細胞バンク」を設置したと発表した。将来、虫歯などで歯の神経を抜くことになった際に、保管していた歯髄幹細胞を使って、歯髄を再生させる治療ができるようになる。(写真は左が細胞を培養する様子、右が細胞を保管する容器=いずれもエア・ウォーター提供)

 アエラスバイオは神戸市中央区・ポートアイランドの神戸医療産業都市にあるエア・ウォーターの研究開発拠点「国際くらしの医療館・神戸」内に設立。同拠点内の歯科医院が提出した再生医療計画が厚生労働省に受理され、6月26日から世界で初めて歯髄を再生する治療を実用化していた。ただ、歯髄の再生には奥歯の「親知らず」を抜くなどで別の歯から歯髄を採取する必要があった。今後は乳歯が抜けた際などに採取し、マイナス150度以下の超低温で劣化することなく長期保存した歯髄幹細胞を使えるようになる。

 歯髄幹細胞の保管にかかる費用は最初の10年が30万円(税別)で、以降は10年ごとに6万円(同)とした。保険は適用されない。現在の歯髄再生治療は、虫歯によって神経を抜くことになった歯に対して適用しているが、2021年4月からは過去に神経を抜く治療を終えた歯に対しても適用できるようになる見通し。治療の対象になるのは国内で1200万人になると推計されている。さらに24年をめどに、2親等以内の親族の歯から採取した歯髄幹細胞を使った治療できるよう、研究開発を進めている。

 神戸の拠点内にある歯科医院に加え、まず愛知県大府市と東京都府中市の合計3カ所で歯髄幹細胞バンクが利用できるようにした。10月から全国の歯科医を対象に歯髄再生治療について理解を深めるセミナーを開催。導入を希望する歯科医への講習会も定期的に開催し、歯髄再生治療を普及させる。23年度には歯髄再生治療を導入する歯科医院を国内で300カ所へと増やしたい考えだ。エア・ウォーターは6月に、幹細胞バンク事業も含め、歯髄の再生医療の事業全体で2023年の売上高10億円規模をめざすと示していた。

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