エア・ウォーター、「歯の神経」再生医療を実用化 世界初・神戸医療産業都市で
- 2020/06/27
- 02:00
産業ガス大手のエア・ウォーターは26日、一般に「歯の神経」と呼ばれる歯髄(しずい)の再生医療を世界で初めて実用化したと発表した。神戸市中央区・ポートアイランドの神戸医療産業都市にある同社の研究開発拠点「国際くらしの医療館・神戸」(写真=資料)内に設立した子会社アエラスバイオと、同拠点内の歯科医院が提出した再生医療計画が厚生労働省に受理されたことで、同日から治療を開始した。
親知らずなど不要になった自らの歯から歯髄を採取し、歯髄に含まれる歯髄幹細胞という細胞を培養・増殖する。虫歯などで神経を失った歯に、培養した細胞を移植することで歯髄を再生させる治療だ。移植から1カ月ほどで歯髄が再生して歯の感覚が戻り、半年〜1年ほどで歯髄周辺の象牙質も再生。表面のエナメル質の代わりになる詰め物などを入れて歯の上部を修復すると、最終的に自分の歯でかめるようになるという。
1回の治療にかかる費用は不要になった歯を抜くところから移植、検査などを含めて50万〜70万円程度になるという。抜歯の日から定期的に検診して、約1年で治療を終えることができる。入れ歯(義歯)やインプラント(人工歯根)と異なる、歯の感覚がある健康な歯を取り戻すことで、長く自分の歯でかみたい高齢者の生活の質向上などにもつながるとみている。
今後は国内の歯科医院向けに、歯髄再生医療を普及させたい考えだ。歯科医師向けの講習会や技術支援も展開する。現在は自分の歯から採取した細胞を使って治療するが、次の段階として乳歯や2親等以内の親族の歯から採取した細胞による再生医療の実現もめざす。必要な細胞を保存する「歯髄幹細胞バンク」といった関連事業も含め、2023年の売上高10億円規模をめざす。
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