関西の水素需要、2031年には33万トン規模に 利活用協議会が試算

 川崎重工業(7012)や関西電力(9503)、丸紅(8002)など12社が参加する「神戸・関西圏水素利活用協議会」は、2030年ごろを想定した水素利用のビジョンをリポートにまとめた。同リポートには31年時点で、関西地方の水素需要は年33万トン規模に膨らむ可能性があるなどの見通しを盛り込んだ。20年代は10万トンに満たない需要で推移するが、30年ごろに水素を燃焼させる発電の商業利用が始まると、急速に水素の需要が増えるとみる。リポートは17日に発表した。

 ビジョンでは25年ごろ以降に商用化実証の局面、30年ごろ以降に商用化の局面に移っていくとの見方を示した。需要予測は、ポートアイランド(神戸市中央区)で実証中の水素コージェネレーション(熱電併給)の商用化と、水素を燃焼させる大型発電での利用に加え、自動車(燃料電池車)燃料のほか製油や化学など幅広い産業利用を想定。水素需要の試算は、分科会ごとに将来ビジョンから潜在需要を想定し、合算したものだという。

 水素の活用を進めることで30年ごろの商用化初期には、関西で年に約240万トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減できるという。ただ、既存のエネルギーを使った場合には、関西全体で740億円のコストアップ要因になるとも試算。水素価格の引き下げは「水素社会」に向けた課題であることも示した。

 褐炭(かったん)由来であるオーストラリア産水素の価格は、現在1N立方メートル(ノルマルリューべ=標準状態での気体の体積)あたり現在の42.3円を、30年ごろには30.8円まで値下げできると見込む。国内で再生エネルギーを使って発生させた酸素は、現在の同120円を50円程度にまで値下げできるとみる。それでも既存エネルギーに比べて上昇する740億円のコストを誰がどう負担するかは引き続き検討が必要のようだ。

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