三宮再開発 完成後に年2600億円の経済波及効果、雇用創出1.6万人・報告書公表
- 2020/07/01
- 01:46
神戸市は30日、三宮再開発の総事業費と経済配給効果について推計した報告書を発表した。2050年に完成するまでの約30年間に、公共・民間含む全事業にかかる費用の総額は7440億円になると見込む。完成後は年2600億円の経済波及効果、年1万6400人の雇用創出効果、神戸市の税収には年90億円の寄与をそれぞれ予想した。建設中の30年間には総事業費の約1.5倍である1兆1000億円(単純平均で年367億円)の建設投資に伴う経済波及効果も見込まれる。
全体事業費のうち神戸市の負担は1570億円とみる。これに対して2050年ごろまでの30年間に神戸市の税収効果は1590億円と、市の負担額を上回る税収効果が得られると予想。仮に神戸市が事業費全額を起債(借金)して資金調達したとしても、金利が高騰しなければ税収の増加で償還(返済)できる計算になる。
30年間の総額で1兆1000億円という建設投資に伴う経済波及効果は、完成に近づくと徐々に減少する。一方で、完成する施設が増えていくと、建設期間中でも施設の完成に伴う経済波及効果が増加。年2600億円に次第に近づくことになる。このため工事の進捗などによっても、経済波及効果の大きさは変化する公算だ。
2030年ごろまでに実施する事業は、事業内容がおおむね明確になっている事業を対象に推計。30〜50年ごろまでの事業は「再整備基本構想」で必要になる公共事業に加え、三宮駅周辺で阪神・淡路大震災以前の建物が建て替えられると想定した。現時点で未定の事業は30年以降の事業として推計したという。50年時点の人口は日本全体が現状から20%減の1億192万人、近畿圏が22%減の2073万人、神戸市は19%減の124万人を前提にした。
もっとも新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに社会構造や交流人口などが変化し、推計の前提になった需要予測と大きく異なる結果になる可能性が出てきた。特に経済波及効果の推計値には影響が出そう。ただ、どういった影響が出るかも含めて未知数の部分が多いこともあり、神戸市は状況の見極めが必要と考えている。
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