神戸市の今西副市長が就任 三宮再開発は「イイトコ取り」めざす・記者会見
- 2020/07/14
- 02:04
13日付で就任した神戸市の今西正男副市長(写真)が同日、記者会見した。今西氏は神戸市に入庁以来「キャリアの半分は財務畑」という。1995年に発生した阪神淡路大震災のときは財務課の係長で、「とにかく財政破綻を防いで市民サービスを低下させない一心で仕事に取り組んだが、結果として三宮や中心部の街の更新がかなり遅れたことには忸怩(じくじ)たる思い」と話した。直近では理事として医療・新産業本部で企業誘致やスタートアップ(起業)支援、神戸医療産業都市などを担当した。記者会見での主なやりとりは以下の通り。
--いまの神戸市の課題は。
「歴史的にみて古くは奈良、京都、大阪と、交通の結節点が都市として発展した経緯がある。だが、主要な国道は神戸を起終点とするものが1本もなく、鉄道も基本的には東西の通過交通だ。昔の神戸は交通の結節点ではなかったが、開港によって人工的に交通の結節点になり、発展のいしずえができた。歴代の市長らが手掛けた施策も、たとえば明石海峡大橋のように新たな道を作って神戸が交通の結節点になろうとしたということだ」
「神戸港は足元で貨物量が回復しているが、海運の主力が輸出から輸入に変わり(東京港や大阪港など)消費地に近い港湾に貨物がシフトしている面もある。そのため空港が次の拠点になるということで空港に力を入れて行こうというのが現在の状況。つまり神戸は発展に向けて動き続けないと、常に衰退する可能性がある。一方で、神戸空港が国際化されていないなど、飛躍のポテンシャルを持ちながら完全に活用されていないという状況がある。もっともっと努力をしないと、もがき続けないと神戸の発展はないと思っている」
--久元喜造市長から特にこれをやってほしいと注文はあったか。
「これまでの職歴から産業界とのネットワークがあるので、ネットワークを生かした仕事をしてほしいという話をいただいた」
--都心地域の更新に向けて動き出そうとした途端のコロナ禍だが、どう立ち向かうのか。
「直近の状況はたいへん厳しいが、なんとか事業者を支えたい。『新しい生活様式』のなかで逆に生まれたビジネスチャンスを生かすといった、新しいことにチャレンジする事業者を応援するといったことに積極的に取り組みたい。一方で、中長期のプロジェクトは瞬間を捉えると厳しい曲面もあるが、ウイルスの変異・新たなウイルスへの脅威に対応できる空調や、3密を避ける街づくりができたとしたら、必ずいい街に仕上げることができると思う」
--将来に向けた投資についての考え方は。組織のスリム化についてはどうか。
「東日本大震災の被災自治体は震災によって1銭も借金が増えなかった。国が復興増税を実施したためだ。神戸市が100年間かけて積み上げた借金が、震災後3年で2倍になった教訓を踏まえたため、被災した各自治体では通常業務ができる財政状態になっている。非常に多くの借金を抱えた神戸市が、政令市で中位の財政力まで回復したことで、ようやく投資が可能になった。三宮の再開発は他の都市に比べて遅れたが、遅れたことで多くの都市の事例を踏まえた『イイトコ取り』をして、少ない投資で最大限の効果を上げるというのが投資スタンスだと思っている」
「組織についてはDX、デジタルトランスフォーメーションが鍵になる。これまで何十年にわたって業務のIT化に神戸市も取り組できた。だが実際に使ってみると使い勝手がさほどよくならず、これで人手が減るのかといった不満を抱えながらやってきた仕事は多かったと思う。これを本当に職員の使い勝手が良い、働きやすいIT環境を用意できるかが重要なポイントだと思う。そうしないと効率的な仕事、働きやすさを両立できない」
ーー神戸に雇用を作り出すためには大企業の本社誘致が必要との指摘について、どう思うか。実現は可能か。
「P&G(日本法人)の本社が大阪から移転してきたことがあり、同じようなことができないかという指摘だと思うが、企業誘致を担当するなかで常にチャレンジは続けてきた。なかなか難しい諸事情があるというのも事実だ。地方にあった本社が東京に吸い寄せられ、東京から出るよりも入っていく方が多いという状況だ。本来であれば東京圏から本社が移転してくるというのが最も望ましいと思うが、現実はなかなか難しいという状況がある。ただコロナ禍を受けて、テレワークが非常に便利だという実感が広がったことで、地方に本社が移転するという可能性が芽生えたのではないか。神戸では六甲山の向こうには田園地帯も広がり、本当に素晴らしい環境で働いていただけるので、そういったことが可能になるよう今後も努力したい」
今西 正男氏(いまにし・まさお) 82年(昭和57年)神戸大経卒、富士銀行(現みずほ銀行)入行。83年神戸市。2013年理事、16年理事兼企画調整局医療・新産業本部長、18年理事兼企画調整局医療・新産業本部長兼住宅都市局都心再整備本部長。兵庫県出身。60歳。
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