川重がLNG発電船を開発へ 船上発電で市場開拓、最大10万〜16万世帯に供給
- 2018/12/04
- 14:11
川崎重工業は4日、船上の発電設備から地上に向けて電力を供給する「発電船」(図=川重提供=の四角形の構造物)の開発に着手したと明らかにした。液化天然ガス(LNG)を燃料とした10万キロワット超の大型の商用発電設備で、最大10万〜16万世帯に電力を供給できるようにする。陸上に同じ規模の発電所を建設するよりも1年程度、短い工期で完成するのが特徴だ。実現すれば世界で初めてで、新たな発電設備の市場を開拓することになる。
長さ100メートルあまりの台船に発電機、LNGタンク、変電設備など発電所機能の一式を搭載する。造船所で建造してそのままえい航し、電力消費地近くの海上にけい留する。これまでも小規模な設備で船上から電力を供給するケースはあったが、10万キロワットといった大出力の施設は例がない。海外ではインフラ整備が途上にある新興国や、国内では緊急用電源としての利用を見込む。
陸上に発電所を建設すると通常は5年程度かかるが、発電船は造船所での工期が約4年と1年程度の工期短縮につながるうえ、現地での作業も少なくて済む。発電船の燃料となるLNGの補給には、すでに川重が手がけるLNG運搬船(図右下の船舶)をセットで提供できる。
石炭や重油を使った従来型の火力発電よりも発電効率は2割以上も向上する。環境性能の高さも新興国などに売り込む際のメリットになるとみている。価格は200億円前後を想定しているようだ。
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