(解説)神戸マラソンの新コース案、「急坂」以外も課題解消か 西に2キロ延長

20231209新コース神戸市案

【神戸経済ニュース】神戸市が5日に発表した神戸マラソンの新コース案(図=神戸市提供)は、注目された「ゴール前の急坂」を解消する以外にも、現在のコースで指摘されている課題を解消することになりそうだ。さらに、新たに延伸することになる明石市とも合意しているうえ「兵庫県とも方向性を共有している」(神戸市の久元喜造市長)という。市境こそ越えるが、県境をまたがない限りは兵庫県警が一貫して交通規制を担当するため、県警も大きな異論を持つとは考えにくい。神戸市が神戸マラソンの将来構想検討委員会に提案すれば、新たなコースとして有力な案になるとみられる。

 神戸市が提示した案は折り返し地点を現在の神戸市垂水区・西舞子から約2キロメートル西に移動し、明石市の大蔵海岸に設定。コースを西に延伸する案だ。往復で4キロメートルの西への延伸によって、ポートアイランドに渡ることなく、メリケンパークなど都心の湾岸エリアにゴールを設定することができる。神戸大橋を渡るための急な坂を登る必要はなくなり、その分「記録が伸びやすいマラソンコース」になる公算だ。

 後半に迎える急坂以外にも、現在のコースは課題が指摘されていた。まず「折り返し地点の狭さ」だ。現在は、神戸市垂水区の「くら寿司西舞子店」に併設する駐車場を折り返し地点に設定しているが、2万人のランナーが折り返す場所としては狭く、ランナーの混雑によってペースが乱されるとの指摘がある。広い駐車場がある大蔵海岸に折り返し地点を設定することで、円滑な折り返しが期待できる。JR朝霧駅からの動線も整備されており、折り返し地点での応援もしやすくなりそうだ。

 このほか「ゴール後の乾杯需要」にも対応できるようになる。これまでポートアイランドにゴールを設定していたことで「完走後の一杯」ができる店が限られていた。新コース案ではゴールがJR・阪神元町駅の徒歩圏内になることが見込まれ、中華街「南京町」や三宮の飲食店街にも繰り出しやすくなる。大会直後の短期的な経済効果だけでなく、ともに走った仲間らとの親交を深め、遠隔地からの参加者も「また神戸で会おう」となれば、神戸マラソンの注目度も高まるだろう。

 新コースの課題1つは、コースが明石市域にも広がることで大会名の変更についての議論が浮上することだったが、久元市長は名称を神戸マラソンに維持することについて、明石市の丸谷聡子市長から「了解を得ている」と話していた。一部では灘区や東灘区方面にコースが延伸されることへの期待もあったが、一段と大掛かりな交通規制が必要になることもあって可能性は低いようだ。現時点では別の有力なコース案も提示されていないことから、今回の神戸市案が2025年からの新コースとして、神戸マラソン実行委員会が詳細の検討に入る可能性も高いのではないか。

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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