(解説)下がり続ける貸し出し金利の行方は? みなと銀など地銀3行統合
- 2017/03/26
- 22:52
みなと銀行、関西アーバン銀行、近畿大阪銀行(大阪市中央区)が2018年4月に経営統合すると3日に発表した後も、低金利に苦しむ地銀の再編を巡る報道などが相次いだ。大手銀行グループが地銀との関係を見直す動きも再編を後押しするが、銀行の根本的な収益力の回復にはつながらないとの見方も根強い。収益悪化を規模拡大で乗り切る戦略について、株式市場も懐疑的に見ているようだ。
■大手銀行グループは地銀と疎遠に
みなと銀など3行統合の特徴は、三井住友銀行の子会社である関西アーバン銀、みなと銀の2行と、りそな銀行の子会社である近畿大阪銀行が親会社の違いを超えて経営統合に踏み切るということだ。2018年4月に設立する3行の共同持ち株会社はりそなホールディングスの子会社になる予定。みなと銀と関西アーバン銀は三井住友銀の傘下を事実上離れることになる。
神戸市に本社を置くみなと銀は旧阪神銀行と、戦後初の地銀破綻になった旧兵庫銀行を引き継いだ旧みどり銀行との合併を経て、三井住友銀行の前身である旧さくら銀行の傘下に入った。兵庫県内の地域金融をみなと銀、大企業向けや国際業務をさくら銀と住み分けを試みた。兵庫県内にあったさくら銀の支店をみなと銀が譲り受けた経緯もあるほど親密だったが、こうした両行の関係も今後疎遠になるとみられる。
以前は預金よりも貸し出しが多かった都市銀行など大手銀は、貸し出し額よりも多額の預金を抱える地銀を取り込んで、資金調達の支えにするケースが多かった。ただ、最近は都市銀行も貸し出しより多額の預金を抱えるようになり、地銀を巻き込んで資金調達する必要がなくなってきた。このため大手銀は、地銀との関係を見直す必要に迫られたとされる。
■下がり続ける貸出金利と増える預金
2016年10月に発足した持ち株会社「めぶきフィナンシャルグループ」の傘下に入ったのは、茨城県の常陽銀行と栃木県の足利銀行。いずれも三菱UFJフィナンシャルグループとの親密地銀だった。16年4月1日付で徳島銀行と香川銀行の共同持ち株会社であるトモニホールディングスの傘下に入った大正銀行(大阪市中央区)も三菱UFJの傘下銀行だった。こうした動きが三井住友フィナンシャルグループにも表れた。
一方で、「大きな地銀」を目指すりそなグループは、制服の廃止やペーパーレス化など、りそな銀と同様のコスト削減策を導入することで、地銀の採算は改善すると見込んでいるようだ。預金者・利用者にとっても営業時間の拡大や窓口での待ち時間短縮といった形で、地銀の利便性改善につながるとの見方は少なくない。ただ根本的な収益の改善には、事業会社であれば売上高に相当する収入の増加が必要だ。
日銀が金融緩和姿勢を継続する中で、国内では新たな資金需要が細っており、貸出金利は下がる一方。昨年秋以降に長期金利は、米国につられる形で上昇したが、その間も銀行の貸出金利は上がらなかったことをグラフが示している。みなと銀や関西アーバン銀の株価は3日に経営統合を正式発表して以降、第一報が伝わった2月20日以前の水準に戻ってしまった。規模が大きくなることで経営が安定するという点について、必ずしも賛成する意見ばかりでないことがうかがえる。(神戸経済ニュース)
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神戸市に本社を置くみなと銀は旧阪神銀行と、戦後初の地銀破綻になった旧兵庫銀行を引き継いだ旧みどり銀行との合併を経て、三井住友銀行の前身である旧さくら銀行の傘下に入った。兵庫県内の地域金融をみなと銀、大企業向けや国際業務をさくら銀と住み分けを試みた。兵庫県内にあったさくら銀の支店をみなと銀が譲り受けた経緯もあるほど親密だったが、こうした両行の関係も今後疎遠になるとみられる。
以前は預金よりも貸し出しが多かった都市銀行など大手銀は、貸し出し額よりも多額の預金を抱える地銀を取り込んで、資金調達の支えにするケースが多かった。ただ、最近は都市銀行も貸し出しより多額の預金を抱えるようになり、地銀を巻き込んで資金調達する必要がなくなってきた。このため大手銀は、地銀との関係を見直す必要に迫られたとされる。
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2016年10月に発足した持ち株会社「めぶきフィナンシャルグループ」の傘下に入ったのは、茨城県の常陽銀行と栃木県の足利銀行。いずれも三菱UFJフィナンシャルグループとの親密地銀だった。16年4月1日付で徳島銀行と香川銀行の共同持ち株会社であるトモニホールディングスの傘下に入った大正銀行(大阪市中央区)も三菱UFJの傘下銀行だった。こうした動きが三井住友フィナンシャルグループにも表れた。
一方で、「大きな地銀」を目指すりそなグループは、制服の廃止やペーパーレス化など、りそな銀と同様のコスト削減策を導入することで、地銀の採算は改善すると見込んでいるようだ。預金者・利用者にとっても営業時間の拡大や窓口での待ち時間短縮といった形で、地銀の利便性改善につながるとの見方は少なくない。ただ根本的な収益の改善には、事業会社であれば売上高に相当する収入の増加が必要だ。
日銀が金融緩和姿勢を継続する中で、国内では新たな資金需要が細っており、貸出金利は下がる一方。昨年秋以降に長期金利は、米国につられる形で上昇したが、その間も銀行の貸出金利は上がらなかったことをグラフが示している。みなと銀や関西アーバン銀の株価は3日に経営統合を正式発表して以降、第一報が伝わった2月20日以前の水準に戻ってしまった。規模が大きくなることで経営が安定するという点について、必ずしも賛成する意見ばかりでないことがうかがえる。(神戸経済ニュース)
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