クラウドファンディング、顧客との対話が膨らむ KIITOでトークイベント

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 神戸市の施設であるデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO、神戸市中央区)は13日、持続性に着目して新しい時代の消費について考えるイベント「ハロー・ニューエコノミー・ワンデイ・ストアズ&トーク」の第1回を開催した。午後2時からのトークイベント(写真)では、製造業の若手経営者らがクラウドファンディング (CF)を活用することで、商品を支持する顧客層や、顧客との対話が広がった経験などについて話しあった。

 出演したのは、24カ月連続でCFに挑んだ服飾メーカー・オールユアーズ(東京都世田谷区)の木村昌史代表と、自社素材を使った冬でも暖かく起きられるパジャマ「もちはだ」の関連商品を製品化するのにCFを活用したワシオ(加古川市)の鷲尾岳・統括本部長。司会は、地方発の雑誌や書籍などを多く手掛け、KIITOに拠点を構える編集者の藤本智士氏が務めた。

 CFはインターネットの専用サイトを通じて小口の寄付を集める仕組み。2014年の金融商品取引法改正で国内でも可能になった。商品化や研究開発の資金を調達するのに利用が活発化している。寄付とはいえ新たに完成した商品が「報酬」として届くといった枠組みにするケースが多い。お金を出せば商品が届くのは購入することと似ているが、作り手と顧客の間には単なる「先行予約」とは異なるやりとりがあると藤本氏は指摘する。

 オールユアーズの木村氏は、CF通じて資金を集めた後にパーカーの生産を予定していた工場が、2016年4月の熊本地震で被災した経験を明かした。当初はパーカーを着るのにちょうど良い4〜5月に発送する計画だったが、地震被害で納期が4カ月程度、遅れることになった。「経緯を正直に説明したところ『来年着るから』という顧客も多く、キャンセルは1件もなかった」と話していた。

 ワシオの鷲尾氏は、父親が経営する同社の後継者。子供のころから「もちはだ」のパジャマを身に着けていたことから「冬の朝は寒くて起きられない、ということに共感が持てなかった」という。そこで「この世から寒いをなくしたい。」というフレーズを想起して、CFに臨んだ。自信を持って商品をすすめられたうえ、さらに商品を通じて社会に貢献しようという姿勢が共感を呼んだと分析していた。

 プロデューサーを務めたKIITOの丸山僚介チーフスタッフは、「ネットの普及で日々変化している日常の消費や物作りを見直し、豊かさについて改めて考えるきっかけになれば」と今回のイベントを企画した。8月3日には第2回として、鳥取県八頭郡智頭町でパン店「タルマーリー」を経営する渡辺格さんと、西宮市でパン店「ameen's oven」を経営するミシマショウジさんによるパン店の出店と、トークイベントを予定している。

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