ネスレ日本、貨物列車の中距離輸送で開始式 貨物駅隣接の倉庫を物流拠点に
- 2024/02/22
- 14:48
【神戸経済ニュース】食品大手のネスレ日本(神戸市中央区)は、走行距離500キロメートル以下の中距離輸送で貨物列車の利用を始めた。まず島田工場(静岡県島田市)で生産したコーヒー飲料を大阪府と和歌山県に配送するため、静岡貨物駅(静岡市駿河区)から百済貨物ターミナル駅(大阪市東住吉区)へのコンテナでの定期輸送を2月に開始。走行距離は330キロメートルほどになる。これを記念する式典を21日に、ネスレ日本とJR貨物グループが共同で百済貨物ターミナル駅に隣接する倉庫を使って開催した(写真)。
2024年は1日にコンテナ40個(重量では200トン)の貨物を列車で輸送する。百済貨物ターミナル駅に隣接する倉庫を物流拠点として活用し、必要に応じて大阪府と和歌山県の顧客にコーヒー飲料を配送する。これまでは静岡県内の商品倉庫から直接、トラックで顧客に納品していたが、年間でトラック4000台分の静岡〜大阪へのトラック輸送を鉄道に置き換える計算になる。これによって二酸化炭素(CO2)排出量を年9000トン減らせるという。
式典に出席したネスレ日本の深谷龍彦社長(写真右から2人目)は、トラックドライバーの労働時間管理を厳格化する「物流の2024年問題」への対応に加え、全世界のネスレとして「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」取り組みの一環だと、今回のねらいを強調した。JR貨物の犬飼新社長(写真左から2人目)はネスレ日本の「持続可能なサプライチェーン(供給網)の構築に、しっかり貢献できるよう品質向上の努力をしていく」と話した。
ネスレ日本では島田工場や霞ヶ浦工場(茨城県稲敷市)、姫路工場(姫路市)から主に北海道や九州に向けて、貨物列車を活用して商品を輸送している。従来は中距離以下ではトラック輸送の方が経済的とされてきたが、ドライバー不足などを背景に足元では「それほどトラックの方が有利というわけでもなくなってきた」(ネスレ日本サプライ・チェーン・マネジメント本部)こともあり、貨物列車への活用拡大に踏み切った。今後は島田工場から中国地方、霞ヶ浦工場から東北地方への輸送などで貨物列車の活用を検討する。
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