日銀神戸支店、5カ月ぶり景気判断引き上げ 個人消費「新型コロナ影響やわらぐ」

【神戸経済ニュース】日銀神戸支店が11日に発表した管内金融経済概況では、兵庫県の景気の基調判断を「資源価格上昇の影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症の影響が和(やわ)らぐもとで、基調としては持ち直している」とした。先月の「基調としては持ち直しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響がみられている」から景気判断を引き上げた。旅行や観光、外食など対面型のサービス業への需要が持ち直しつつあり、個人消費に増加の動きが見えてきたという。

 個人消費の動きを示す指標は「百貨店販売額」が持ち直しつつあり、「スーパー販売額」は高水準で推移。「家電販売額」も堅調だ。「神戸市内の主要ホテル客室稼働率」「県内観光地の入込客数」も回復基調をたどっているという。半導体不足のため自動車の生産が追いついておらず、乗用車新車登録台数は弱めの動きだが、個人による自動車の購入意欲は継続している。新型コロナの感染拡大による行動制限がない5月の大型連休を3年ぶりに迎えたことで、消費者の視線が久しぶりに自宅の外に向かった形だ。

 企業の設備投資も引き続き、研究開発投資やソフトウエア投資を中心に堅調。おう盛な海外需要を背景に、生産も増加基調だ。半導体不足やコネクターなど電子部品の不足の影響は残るが、一時に比べると影響は弱まったとみられる。ウクライナ情勢などを背景とした原油高、資源高、円相場の下落を受けて企業の調達コストは上がっているが、増産による稼働率向上と価格転嫁で一定の採算は確保できているもようだ。金利は低く維持されており、企業の資金繰りも落ち着いている。

 だが11日の記者会見で、日銀神戸支店の山崎真人支店長は「先行きはきわめて不確実性が高い」との見方を示した。まず海外での新型コロナの影響「とりわけ中国でのロックダウン(都市封鎖)の影響には注意したい」という。都市封鎖を実施した上海は中国最大の物流の中心地だけに、中国から部品が届かず、日本での生産に響くといった懸念がある。加えて「エネルギーや食料品の価格上昇による個人の消費マインドへの悪影響」のほか、「原材料高による収益悪化で設備投資や雇用賃金の持ち直しに水を差す可能性」など物価高の影響にも警戒感を示していた。

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