(解説)新型コロナ、兵庫で緊急事態を早期解除の可能性 大阪の動きが影響か

20200511緊急事態宣言の関連発言

 新型コロナウイルスを巡る政府の緊急事態宣言が、兵庫県でも当初予定の31日を待たずに早期解除の可能性が出てきた。西村康稔経済財政・再生相が10日の記者会見で、特定警戒都道府県を除く34県の「多くで緊急事態宣言の解除が視野に入る」と述べた。加えて兵庫県を含む特定警戒都道府県でも、政府が設ける基準を満たせば解除の検討対象になるという。知事に権限がある休業要請などの緊急事態措置を、独自の基準で解除をめざす大阪府の動きも、隣県である兵庫県の動向に影響を与えそうだ。

 政府が示している緊急事態宣言の期間は31日までだが、14日、21日、月末と1週間ごとに3段階で状況を分析する方針だ。西村氏は「5月までに全国で収束させたい」との方針を示しているが、経済活動の停滞との見合いもあり、14日に30県以上の緊急事態宣言を解除できると判断する可能性が高い。判断に当たっては(1)感染状況(2)医療提供体制(3)モニタリング体制――の3点を「総合的に」みると示している。

 大阪府は、もっと具体的に基準を示している。同府は「新規陽性者のうち感染経路不明者が10人未満」、新型コロナウイルスのPCR検査を受けた人数に対する陽性者の割合である「陽性率7%未満」、「重症病床の使用率60%未満」の3つを7日連続ですべて満たせば、自粛要請などを段階的に解除するとしている。大阪府は3つの基準のうち、10日までの7日移動平均はそれぞれ4.14人、2.6%、26.6%といずれも基準を下回って推移しているとしている。独自基準は15日から適用を開始するとしており、早ければ16日にも段階的な解除が始まる公算だ。

 兵庫県の井戸敏三知事は、かねて京阪神が連続する地域であることなどを考慮し「(京都府、大阪府、兵庫県の)3府県は基本的に同じスタンスを取らざるを得ない地域」と強調。大阪府の吉村洋文知事も近隣府県との調整を進める方針を打ち出していることもあり、兵庫県も緊急事態措置を解除する判断について事実上大阪府に追随するとみられる。井戸氏は7日に「解除などを進めていく場合には、兵庫と大阪は同じようなテンポと範囲でやっていくしかない」などとも話していた。

 神戸市の久元喜造市長は8日の記者会見で、兵庫県が大阪府に追随して同じ基準を使用するならば「重症病床の使用率60%未満」という基準の「『60%』は相当高い水準だ」と指摘。もっと病床に余裕がある状況で緊急事態措置の解除を判断するよう、兵庫県に要望したと明らかにした。ただ神戸市立医療センター中央市民病院では7日時点で、重症病床の使用率は20%。仮に兵庫県が30〜40%まで基準を引き下げたとしても、現状では基準を下回る。小中学校などは31日まで休校を予定するが、兵庫県が休業要請の終了などをそれより早く判断する公算は大きくなっている。

 もっとも経済活動の内容が「コロナ前」に戻るのかは現時点で未知数だ。訪日外国人観光客の入国を以前のように認めるまでには相当の時間が必要とみられる。神戸では比較的恩恵が少ないと言われていたが、それでも観光への影響は続きそうだ。さらに外出の自粛要請を受けて普及したテレワークは、かねて働き方改革の流れの中で導入が求められていた。テレワークの方が効率的に仕事ができる局面も確認されたとの声も多い。加えて引き続き不要不急の通勤や出張は、できれば避けたいと考えるのも一般的だろう。すでに動き始めている「コロナ後」の新たな経済とは何かを、模索する必要はありそうだ。

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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