商店街を歩き、もっと神戸を好きになる クマガイタツロウさんインタビュー

20200505ワタナベフラワー

 明るく元気な楽曲で人気のワクワクロックンロールバンド「ワタナベフラワー」。リーダーのクマガイタツロウさん(写真中=ワタナベフラワー提供)に、神戸を拠点に活動するようになった経緯などを聞いた。NHK「みんなのうた」に楽曲を提供するなど全国的な地名度も獲得する一方で、神戸市内の各区を巡る音楽フェス「神戸ストラット」など地域密着型の活動も展開する。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、ライブや音楽フェスは中止が相次ぐなかでも、新たな展開を神戸で模索する。

 −−神戸を拠点に活動しています。

 「ワタナベフラワーは2001年に結成して今年で20年目になりますが、実は最初から神戸にこだわっていたわけでもないのです。いろんな場所でライブをしている中で、『なんか大阪が合わへんな』と思ったんですよ。学生のころから神戸でバンドを組んでいた、ということもありますが、やはり神戸が一番落ち着いてライブできるということになるまで、それほど時間はかかりませんでした」

 「神戸で活動するにあたって、ライブハウスのイチ押しアーティストになることを考えました。みんなが憧れるライブハウスでは難しいだろう。そこで当時、新しくできたパインフィールズというライブハウスがありまして、ここを中心にライブをやろうと決めたんです。それが店長だった松原裕(※)との出会いにもなりました」

 ※ 松原裕(まつばら・ゆたか)さん  姫路市出身の音楽プロデューサー。神戸のライブハウス「music zoo KOBE 太陽と虎」を設立した。年1回開催する無料音楽フェス「カミングコウベ」の創設者でもある。2019年に腎細胞がんで死去。39歳だった。
 
 −−他の都市を拠点にすることは考えなかったのですか。

 「大阪は、なんか怖いなと思ったんです。確かにライブハウスはいっぱいあるのですが、外国人も多いし、おしゃれな人も多い。道を歩いていると、服を売られたりする……。学生時代は西宮の『いなかもん』だったりしたので、そういうパワフルな物に付いていけてなかったんでしょうね」

 「東京の事務所に所属していたこともありまして、その時は東京にも来い、って言われましたね。でもビビりなんで(笑)。仕事は神戸が多かったですし、次に所属した大阪の事務所をやめて独立した段階で神戸に振り切ろうと」

 「東京に行った方がよかったか、というのは特に考えたことないですね。過去の選択を後悔しないように、いまがんばるだけです」

 −−商店街のキャンペーンソングを制作するなど地域に密着しています。

 「水道筋商店街(神戸市灘区)の地域通貨エルナを宣伝する『エルナのうた』を作るきっかけになったのは、水道筋商店街の広報を担当されている『ゑみや洋服店』の江見(真也)さんと、ラジオ出演を通じて知り合ったのがきっかけです。その縁で、2013年に水道筋商店街で10カ月連続のライブを開いたことがありました。それで10回が終わって、最後に記念撮影をするときに、水道筋商店街の法被(はっぴ)を着せてもらったんですね。それが仲間として認められた気がして、本当に嬉しくて。僕の中では、さらに神戸を好きになる大きなできごとだったように思います」

20200505水道筋商店街
水道筋商店街

 「2015年に『神戸ストラット』を僕らミュージシャンで、みずから企画して始めようと思ったのも、江見さんが『摩耶山・掬星台(きくせいだい)でフェスしましょうよ』と言ってくれたのがきっかけです。僕も神戸でいろいろやりたいと思っていましたし、現地に足を運んで顔を合わせていた、東日本大震災で被災した子供たちを呼んで、元気になった神戸を見てもらいたいというタイミングと重なったということもありました」

 「神戸ストラットは第1回の摩耶山に続いて舞子公園(神戸市垂水区)、六甲アイランド(東灘区)、ノエビアスタジアム場外(兵庫区)、鉄人広場(長田区)と続けてきましたが、最初から各区を回ろうという話ではありませんでした。第1回が終わった後、商店街を歩いたり、摩耶山に登ったりすると、いろんな人に『クマちゃ~ん』と声をかけてもらったんです。僕は商店街を歩いたら、いろんな人に声をかけてほしいんですよ。甲子園とか今津(西宮市)の市場で、小さいころから『おかえり』とか『コロッケ食べるか』とか言ってもらってたんで。そういう風に歩けるところが増えたらええなと思って」

 ーー残念ながら3月15日に須磨海浜水族園で予定していた第6回の神戸ストラットは中止になってしまいました。改めて須磨区で何か企画が必要ですね。

 「ちょっとまだ、そこまでは考えられない状況です。いま、この制限のある中では、みんなで楽しんでもらえることを考えて、やってみて、その中でまた何かを見つけるといったプロセスが要るように思います。やらなあかんからやる、というよりは、楽しいことは『やりたくなったらやる』という姿勢を大切にしたいです」

 「ただ、いろんな人たちと一緒に、全員で作りあげることを1つ思いついたんです。ちょっとまだお話できる段階ではないのですが、なんとか形にしたいと思っています。当面は、それに向かって進んでいこうと思います」

 ーー場所は神戸ですか。

 「もちろん、そうなると思います」
(聞き手は編集長・山本学)

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