(動画)「神戸商船三井ビル」戦災・震災を乗り越え100年 内部など報道公開



【神戸経済ニュース】海運大手の商船三井(9104)は、前身会社の1つである大阪商船が建設して1922年(大正11年)に完成した「神戸商船三井ビル」が完成から100年を迎えたのを機に、報道機関に公開した(動画)。現存するオフィスビルとしては日本で最も古い建築の1つだ。旧居留地を代表するランドマークでもある。報道公開は20日に実施。オフィスビルのため通常はビル内に用事があるか、1階店舗の買い物客しか入館できないが、完成100年を記念してエントランスに限って一般公開も実施する。

 当時としては最新鋭の鉄筋コンクリート造で、地上7階、地下1階。外壁には1階部分に天然石を使ったが、2階以上は日本で初めてテラコッタ(建設用の素焼き陶器)を採用。内装にはプラスター(石こう)を使ったほか、暖房に強制循環温水方式を導入するなど、日本初の技術を多く取り入れた。設計は、のちにダイビル本館(大阪市北区)や綿業会館(大阪市中央区)を手掛けた渡辺節。神戸商船三井ビル(建設当時は「大阪商船神戸支店」)を設計する直前に、米国を視察して影響を受けたとされる。

 第2次世界大戦では1945年6月の神戸大空襲の際には、奇跡的に軽度の損傷にとどまった。周囲に多かった木造の洋館は多くが焼失し、石造りの建築も内部が火災になった建築物が目立った中でも、直接の被弾を免れたためという。50年後の95年1月に発生した阪神淡路大震災では、1階が水没して基幹設備が損傷した。だが構造への影響は限定的だった。神戸市が景観上保存したい意向を伝えていたこともあり、外壁や1階のエントランスを中心に、復旧工事が進められた。

 21世紀に入って阪神淡路大震災からの復旧工事が終わると、東海道・南海地震などへの耐震補強が検討された。耐震性を検討する中で、ビルの取り壊しも浮上する中、改めて耐震補強によってビルを存続させることが決まったという。補強のために組んだ鉄骨の枠組みは景観に配慮して、暖房のためのボイラー施設を撤去した跡地で、隣接するビルとの間に設置した。02年に神戸景観ポイント賞(神戸市)、15年にBELCA賞(ロングライフビル推進協会)、17年に人間サイズのまちづくり賞・知事賞(兵庫県)を受賞。

 公開するエントランスは北側の出入り口。5月31日までの平日、午前9時〜午後4時に公開する。入場料などは無料。事前の申し込みは不要だが、観覧を希望する場合は公開時間内に1階受け付けに申し出る。

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