(解説)関西「3国際」空港時代へ 2030年・アジア各地にシャトル便の需要も
- 2022/09/25
- 18:21
【神戸経済ニュース】関西国際空港、大阪国際(伊丹)空港、神戸空港の役割分担を自治体や経済界で話し合う「関西3空港懇談会」(写真)が開かれた18日、2030年前後に神戸空港にも国際定期便を就航させることで合意した。現在は国内便しか就航していない伊丹空港も、関西国際空港の完成前は国際空港として機能していたことから、関西3空港がいずれも国際空港の機能を持つ将来が明確になった。このことが大阪を中心とした関西の経済圏の将来にとって、大きな威力を発揮することになるだろう。
京都、大阪、神戸にはそれぞれ新幹線の駅があり、東京や名古屋、広島、福岡といった国内の主要都市に気軽に出かけられる環境がある。東海道・山陽新幹線の沿線都市なら日帰り出張も可能だ。とりわけ東京と福岡の両方に日帰りで仕事ができるのは、特に関西圏に活動の拠点を置く大きなメリットの1つと言ってよいだろう。これに加えて人口が増えているアジア各国へ、新幹線に乗るように飛行機に乗って出かけられるとしたら、関西の経済圏は「アジアの成長を取り込む」といった状況に一歩近づくことになる。
新型コロナウイルスの感染が収束すると、再び関西国際空港は観光客で混雑する。このため、これから頻度が高まるとみられるビジネスでのアジア各国と関西との往来は、ひとまず神戸空港での発着が想定される。関西3空港懇談会で座長を務めた関経連の松本正義会長が、神戸空港にグレードの高い空港までの動線(空港アクセス)を求めるのもこのためであると考えられる。関西国際空港で観光客の受け入れを中断することなく、アジアから「賓(ひん)客」を受け入れるとすれば、もう1つの玄関である神戸空港を使うことにもなるだろう。
神戸空港(資料写真)
神戸空港に就航する国際線の便数上限は1日に40便だ。たとえばシンガポール、香港、上海、台北、ソウルの5都市に1日4往復のシャトル便を運行すれば発着枠は満杯になる。そうなると(あくまで関西国際空港が混雑した状況であることが前提とはいえ)伊丹空港からも日中の時間帯に、国内便から乗り継ぎやすいアジアの都市への就航を求める声も出てくるのではないか。海外出張が気軽にできる環境があれば、関西圏に本社を置く大企業も中小企業も、たとえばシンガポールなどへの移転を考える必要がなくなる。
(神戸経済ニュース編集長 山本学)
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