ワールド、今期営業赤字67億円に上方修正 緊急事態後の販売が想定上回る
- 2020/08/05
- 20:09
アパレル大手のワールドは5日、2021年3月期の連結営業損益(国際会計基準)が67億円の赤字(前期は123億円の黒字)になる見通しだと発表した。従来予想である71億円の赤字から上方修正した。政府による新型コロナウイルスの緊急事態宣言が想定よりも早く解除になったことから、4〜6月期の業績が想定を上回ったことなどが寄与。ブランドの統廃合や不採算店の撤退、希望退職と構造改革を前倒しするが、構造改革費用の約57億円を計上しても赤字幅が縮小する。一方で、最終損益の予想は60億円の赤字(前期は80億円の黒字)を据え置いた。
売上収益は前期比16%減の1992億円を見込む。従来予想は1990億円からやや上振れる。既存店売上高は20年10月〜21年3月の下期に前年同期比0.4%減と、従来想定の10.9%増から保守的に見直した。ただ、前年同月比96.8%減を想定した5月の実績が71.8%減、66.7%減を想定した6月が14.1%減と上振れていた。一方で、ネット通販の下期伸び率は前年同期比67.9%増を想定。従来想定の21.3%増よりも大きく膨らむ。年間のネット通販は前期比55%増になる見通しだ。
同社が重要な経営指標の1つに掲げるコア営業利益は前期比95%減の6億円と予想。従来予想である52億円の赤字から一転して黒字を確保する。コア営業利益は売上収益から売上原価と販管費を引いて算出し、本業の利益を表す。中間配当は見送り、期末に59円配として年間では前期比3円増になる年間配当計画は維持した。
同時に発表した2020年4〜6月期の連結決算は、純利益が24億円の赤字(前年同期は66億円の黒字)だった。新型コロナの感染拡大を受けた政府の緊急事態宣言などで、店舗に臨時休業や営業時間の短縮が相次いだのが響いた。5月の大型連休にかけて店舗での販売機会を失った春物の在庫消化で値引き販売が増え、利益率が悪化した。イベント自粛などの経費削減では補えなかった。
売上収益は前年同期比45%減の329億円、営業損益は31億円の赤字(前年同期は87億円の黒字)になった。
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