兵庫日銀短観、全産業DIは5期ぶり悪化 中小企業には賃上げ価格転嫁の機運
- 2024/04/01
- 21:06
【神戸経済ニュース】日銀神戸支店が1日に発表した全国企業短期経済観測調査(短観、3月調査)の兵庫県分では、全産業の業況判断指数(DI)が前回調査から4ポイント悪化のプラス14だった。業況判断DIの悪化は5期ぶり。品質不正問題による自動車生産の減少や、中国の景気低迷による影響が表れた。一方で業況判断DIは依然として、今回の景気回復局面での最高値に近い水準で推移。特に中小企業も仕入れ価格の上昇や賃上げを、販売価格に転嫁する機運が高まっていることも映した。
調査期間は2月27日〜3月29日。兵庫県内の333社が対象で、回答率は99.4%だった。ただ調査結果の回収状況などから、3月18〜19日の金融政策決定会合で日銀がマイナス金利政策の解除を決めた影響は、ほとんど織り込まれていないとみている。業況判断DIは景気が「よい」と答えた企業の割合(%)から、「悪い」と答えた企業の割合(%)を差し引いて算出する。
業種別にDIをみると、製造業は4ポイント悪化のプラス9と、5期ぶりに悪化した。特に「自動車」の景況感が37ポイント悪化してマイナス12と、マイナスに転じたのが目立った。ダイハツ工業が認証不正で自動車の生産を停止したことを受け、兵庫県内の自動車部品を製造するメーカーも影響を受けた。タイヤのウエートが大きい「ゴム製品」のほか、「鉄鋼」も悪化した。
ただ仕入れ価格が高止まりする中で、高い仕入れ価格や従業員の賃金引き上げを販売価格に転嫁する動きは、中小企業にも広がりつつある。販売価格判断DIの「先行き」は、製造業の中小企業が13ポイント上昇のプラス38、全産業でみても7ポイント上昇のプラス36と販売価格の上昇を見通す。1日に記者会見した日銀神戸支店の竜田博之支店長は「幅広い業種で『政府の施策などによって、人件費の販売価格への転嫁が認められやすくなっている』との声が聞かれている」と説明した。
企業の事業計画の前提となる24年度の想定為替レートは全規模全産業で1ドル=141円34銭だった。円相場が下落したことで、23年度に140円00銭としていた前回調査から円安方向に修正された。足元の円相場は対ドルで1ドル=151円台とあって、多くの企業にとって現在の円相場は想定よりも円安になっているもよう。
日銀は経済の実態を正確に把握することを目的に、調査対象の企業を今回調査から見直した。見直し後の調査対象企業で23年12月調査をさかのぼって算出すると、23年12月の全産業の業況判断DIは「最近」がプラス18、「先行き」がプラス11。旧基準でのプラス17、プラス10からやや上方修正されたが、先行き慎重な見方など大きな傾向の変化は出なかった。
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