夏の大型観光キャンペーン、経済効果314億円 MaaSも好調・観光回復に弾み

20231224兵庫DC結果

【神戸経済ニュース】兵庫県内の観光地経営団体(DMO)などで構成する推進協議会とJR西日本(9021)が7〜9月に展開した大型観光キャンペーン「兵庫デスティネーションキャンペーン」による経済波及効果は、314億円になった。兵庫県立大の地域経済指標研究会による試算結果を、推進協議会とJR西日本が発表した。キャンペーンを機会に地域資源の見直しや、「食」「体験」に関する観光コンテンツ開発が進んだのが寄与した。DMOのひょうご観光本部ではキャンペーンが「新型コロナウイルスで打撃を受けた県内観光産業を建て直すきっかけにできた」(安東明美・事業推進部長)とみている。

 JRグループが地元と連携して展開するデスティネーションキャンペーン(DC)は、国鉄時代から続く国内でも最大規模の観光キャンペーンだ。全国の駅にポスターを掲示するほか、JR系に限らず主要な旅行会社が対象地域の旅行商品を競わせる機会になっている。特に23年は姫路城(姫路市)が世界遺産登録から30年を迎えた節目でもあるほか、MaaS(交通のデジタルサービス)の導入や、アシックス(7936)が新幹線をモチーフにしたシューズを発売する異例の連携などで話題を作り、新型コロナによる行動制限がなくなって初めての夏を盛り上げた。

 兵庫県内の延べ宿泊者数は403万人・泊で、前年同期に比べ19%増、新型コロナ前の19年と比べても2%増と、全国(19年比でほぼ横ばい)を上回る回復を見せた。特に日本人の宿泊に限ると19年比で4.2%増と、国内向けのキャンペーンである兵庫DCの効果が顕著に表れたといえる。県内への観光入り込み客数が19年を下回ったのは、相対的に単価の低い日帰り客が、8月の猛暑と台風の影響で外出を控えたためとみられる。テーマは「テロワール旅」として「食」を中心に設定したことも、宿泊者数の増加に寄与した。

 個別の観光地・観光施設でみて19年の入り込み客数を上回ったのは、7〜9月に独自の行事を開催した施設が目立った。書写山円教寺は「魔尼殿奥秘仏・如意輪観音像」の特別公開が関心を集めたほか、デジタル美術制作のチームラボ(東京都千代田区)による光を使った演出などを実施。篠山城跡では8月15日こそ台風の影響で中止になったが、同16日は4年ぶりに民謡の祭典「デカンショ祭」を通常開催した。各地の取り組みと観光キャンペーンの間で相乗効果が出たとみられる。

 新たな取り組みでは、JR線の周遊券に観光施設の入場料などがセットになって2日間有効のデジタルチケット「神戸・兵庫デジタルパス」(3000円)が人気を集めた。利用できる施設数からみて割安であることに着目した利用者が多く、3566枚を販売。来夏に実施する事後キャンペーンでも、MaaSには積極的に取り組む方針でまとまった。兵庫県は2025年に開催する国際博覧会(大阪・関西万博)に向けて、県内各地のSDGs(国連の持続的な開発目標)に関する取り組みを会場外パビリオンに見立てて誘客する「ひょうごフィールドパビリオン」に力を入れる。今夏のキャンペーンを「万博を機会とした観光誘客に向けても弾みにしたい」(ひょうご観光本部の安東事業推進部長)という。

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