シスメックス「血液で認知症の兆候」検査試薬を来年5月発売へ 薬事承認取得

【神戸経済ニュース】医療用検査機器のシスメックス(6869)は22日、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるタンパク質「アミロイドベータ」が脳内にどれだけ蓄積されたかを微量の血液で調べる検査試薬について、厚生労働省の製造販売(薬事)承認を取得したと発表した。2023年5月の発売をめざす。保険適用も受けられるよう申請の準備も進める。同検査試薬は21年12月28日に製造販売(薬事)承認を申請。今月19日に承認を取得した。

 エーザイ(4523)と共同で開発。今回の試薬で、患者への負担が少なく短時間でアルツハイマー病の兆候を見極めることができる。脳内にアミロイドベータが蓄積された状況を調べるには、陽電子放射断層撮影装置(PET)で脳内を撮影する方法や、脳髄液を抜き出して判断する方法がある。ただPETでは経済的に、脳髄液を抜き出すのは肉体的に、患者への負担が大きい。このためアミロイドベータの状況を、簡単に把握する新たな方法が求められている。

 エーザイと米バイオジェンが開発している「レカネマブ」など、脳内のアミロイドベータを取り除いてアルツハイマー病を治療する動きが広がりつつある。このためアミロイドベータが脳内に蓄積されたかを調べる機会が今後増える可能性がある。このほか健康診断の際などにアミロイドベータの状況を調べるといった用途にも使われる可能性があり、発売に合わせて用途の開拓も進む見通し。価格は未定としている。

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