学生時代に「ほっとした」神戸の空 19番目の作品収蔵・三宮センター街2丁目
- 2024/04/06
- 22:22
【神戸経済ニュース】神戸都心・三宮の商店街「三宮センター街2丁目商店街」(神戸市中央区)では6日、2006年から毎年1作品ずつ増やして路面にアート作品を展示する「ストリートミュージアム」で19番目の作品を収蔵する式典を開催した。新たに収蔵したのは、ガラス作家のキム・ドンヒ氏が製作した作品「夕焼け」(写真右)。韓国籍の作家による作品を収蔵するのは初めてだ。式典では神戸市の久元喜造市長に加え、李相烈・在神戸韓国総領事らが紅白のひもを引き、作品を覆った幕を取り除いて作品をお披露目した(写真左)。作品は路面に埋め込み、窓のようにガラス越しに24時間いつでも見えるよう展示している。
韓国籍の作家による作品を収蔵するのは初めて。あいさつした商店街振興組合の久利計一理事長は、「われわれKOBE三宮・ひと街創り協議会を構成する24団体に、在日韓国商工会議所兵庫にも参加していただいており、(ストリートミュージアムに)韓国作家の作品も1つあればと思っていた」という。キム・ドンヒ氏は韓国・晶原市で生まれ、学生時代の4年間は神戸芸術工科大学(神戸市西区)で過ごした。久利氏は「来年の日韓国交正常化60年を前に、明日が晴れることを約束する『夕焼け』を作っていただいたことは、とても象徴的」だと述べ、新たな作品の収蔵を祝った。
続いてあいさつした李総領事は、今回の作品収蔵に加え、日韓の若者が互いの文化に関心を高めていることについて「草の根交流を通じて培(つちか)われた相互理解、そして友情というのが、韓国と日本の友好関係を良好にして、安定的に発展させるうえで一番肝心なものだと信じている」と語った。神戸空港に国際チャーター便が就航する来年には「韓国のいずれかの都市と神戸を結ぶ航空便ができるよう、がんばっていきたい」とも述べた。
久元喜造市長もあいさつし「三宮はタワーマンションが林立するような無機質な街ではなく、たくさんのみなさんが三宮を訪れ、ショッピングを楽しみ、グルメを楽しみ、アートシーンを楽しむ。そんな街にしたいという議論をずっと重ねてきた」と改めて強調。この観点で「ストリートミュージアムは神戸市にとって本当にありがたい、素晴らしい取り組みだと感謝を申しあげたい」と語った。
作品を製作したキム・ドンヒ氏は「神戸で過ごした学生時代に見た、広くて大きな空を思い出して作った」という。大学卒業後は武蔵野美大(東京都小平市)の大学院、富山ガラス工房(富山市)と拠点を移し、現在は関東地方に住む。昨年末ごろに今回の製作依頼があり、神戸と聞いて思い出したのは学生時代に見た広い空だった。神戸時代に撮った写真も見返し、暖かい気持ちになったという。「神戸に住む人も、神戸を訪れた人も、作品を見て、ほっとした気持ちになってほしい」と話していた。
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