臓器のゴミ取り除いて長生き 「猫が30歳まで」著者が語る・078KOBE

20211106猫30歳

【神戸経済ニュース】「臓器にたまったゴミを取り除けば病気は直せる--」。こう話すのは「猫が30歳まで生きる日」(時事通信出版局)の著者である宮崎徹・東京大教授(写真中)だ。ネコの多くは宿命的に慢性の腎(じん)臓病で死ぬ。だから腎臓病にならなければ、もっと長生きするはずだ。それを大きく左右するのが血液中に含まれる、タンパク質「AIM」だと分かってきた。このAIMこそが、腎臓にたまった「ゴミ」を取り除くタンパク質だ。

 クロスメディアイベント「078KOBE」の一環で、宮崎教授と神戸在住の獣医師である増田忠司氏(写真右)が神戸市内で6日に対談した。宮崎氏はまず、ネコが本来、血液の中に備えているAIMを活性化するサプリメントの発売をめざすと明かした。増田氏は「投与するのではなく、食事で病気が治るのであれば、それが一番いい」という。好き嫌いに敏感なネコは、人間や犬と違って投薬が特に大変だからだ。

 本来は人間の内科医である宮崎氏は「病気のメカニズムはそれほど人間と動物で変わるとは思えない」と指摘する。「特に腎臓病は、最初の原因こそ違うかもしれないが、進行し始めてから末期に至るまでとなると、ほとんど同じメカニズムで進行していると考えられる」。このため人間とネコの「両方に効くアプローチが可能で、そういうものを作れればいいのだろう」と話し、AIMを使った人間の腎臓病の治療薬開発にも期待がかかる。

 腎臓病も含めて多くの致死性の病気を引き起こすのは「炎症」だが、その元になる「臓器にたまったゴミ」を取り除くのがAIMというわけだ。増田氏は、腎不全だけでなく「炎症が慢性化する他の病気にも、幅広く効き目を発揮する治療薬になってほしい」と期待を込めていた。すると宮崎氏は「変形したβアミロイドというタンパク質がゴミとして残る、アルツハイマー型認知症にも効果がある可能性がある」と、さらに幅広い展望を示していた。

 宮崎氏の著書は8月に発売し、愛猫家の間で話題になった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済環境の悪化で、底を尽きかけていたネコ用の治療薬開発の資金に、多くの寄付が集まるきっかけになった。治療薬の製品化をめざす製薬会社との交渉も進み、人間向けの医薬品開発の話も加速。宮崎氏は「本が出てから多くの人の応援を受けて、いろいろなことが前に進んだ」と話していた。(写真は078KOBEで配信した対談の様子、司会はアナウンサーの福田まゆみ氏=写真左=が務めた)

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