認知症診断の結果、金融取引に活用も 神戸市が三井住友銀・みなと銀と協定

20211001神戸市と2銀行

 神戸市は1日、認知症の高齢者と家族が金銭管理しやすい環境作りについて、三井住友フィナンシャルグループ(8316)傘下の三井住友銀行、りそなホールディングス(8308)傘下のみなと銀行の2銀行とそれぞれ連携協定を結んだと発表した。必要な場合は家族の同意を得て、神戸市が実施した認知症診断の結果を銀行に提供。急に治療費が必要になったときなどに、家族の負担軽減につなげる。このほか本人の権利擁護や、家族の負担軽減が可能になる方策などを模索する。神戸市が「認知症のとその家族にやさしいまちづくり」をめざす一環だ。

 協定は1日付。神戸市の久元喜造市長(写真中)、三井住友銀の角元敬治・取締役兼副頭取執行役員(同左)、みなと銀の武市寿一社長(同右)が神戸市役所で記者会見して発表した。認知判断能力が低下した本人や家族は、日常生活に関する支払いが困難になるケースがある。だが利用できる制度があまり知られておらず、事前に対策していないことが多い。そうした際に本人の認知能力が低下していることが診断結果で客観的に示すことができれば、銀行が家族を代理とみなして出金など金融取引の手続きを受け付けやすくなる。

 銀行は窓口で、口座を持つ本人の認知機能が低下した場合に、成年後見制度の利用などを促すことも協定に盛り込んだ。ただ後見人の選任は書類作成から3〜4カ月かかるのが一般的。その間に家族などの支援者に負担がかかる。このため事前の備えの一環として、神戸市による認知症の診断結果を活用できる制度を設けた。こうした高齢者特有の課題解決に向けた調査研究も協定に含めた。三井住友銀、みなと銀は、課題に対応する商品開発もめざす。

 全国銀行協会が2月に、認知機能の低下した高齢者等の預金取引について「原則、成年後見制度の活用」と掲げながらも「本人の利益に適合するかを判断基準として個別対応」すると定めたのも、今回の協定を後押しした。三井住友銀の角元副頭取は「すべての市民が安心して暮らすことができる神戸の実現に協力したい」と話した。みなと銀の武市社長は、今回の協定によって「銀行としても従来以上に迅速かつ適切な対応ができる」と意義を強調した。

 2016年に7カ国(G7)保健相会合を市内で開催したのを機に、神戸市は認知症の無料診断と、認知症の本人が事故を起こした場合の救済制度をセットにした「認知症神戸モデル」を国内で初めて条例化。住民の間で認知症診断の受診率が比較的高いことから、診断結果の提供を制度化する意義があると判断した。久元喜造市長は「全国で初めての取り組みだが、少しでも金銭管理に関する権利擁護につながればと期待している」と話していた。

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