タイヤの「サステナブル化」は機能性や価格など鍵 住友ゴムが説明会で

20210922住友ゴムサステナ車輪
 住友ゴム工業(5110)は22日に開いたサステナビリティ(持続可能性)の長期方針に関する説明会でタイヤ原料について、植物由来のバイオマス素材や古タイヤなどリサイクル素材といったサステナブル(持続可能)原材料に切り替えるには、機能性や価格など3つの課題が鍵になると説明した。同社は2030年までに製造するタイヤ全体の40%、50年には100%をサステナブル原材料に切り替える目標を、8月に発表したサステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」の中に盛り込んでいた(図=住友ゴム提供)。今後も持続可能性を意識した技術開発を継続する。

 材料開発本部の上坂憲市・材料企画部長はタイヤにサステナブル材料を実装する際の課題について、「機能性と品質のさらなる改良」「生産性と低価格の実現」「原料の確保」の3つを挙げた。タイヤの安全性を重視する観点からも機能性と品質の改良は欠かせない。さらに普及には完成したタイヤの価格も重要で、どのタイヤにも幅広く共通して使う材料(はん用材料)をいかにサステナブル原材料に置き換えるかが問われる。加えてそうした原材料を安定して調達しなくては、すべてのタイヤに使えないというわけだ。

 こうした課題を乗り越える1つの手段が「タイヤのリサイクル」になると上坂氏はみる。廃棄タイヤを粉砕して作るゴムパウダーは近年、粉末の微粒子化が進み、タイヤの多くの部材に再利用できる可能性が見えてきた。一方で廃棄タイヤに熱を加えてガスと油に分解し、再び採掘したガスや石油のように有機物の原料に使う研究開発も進んでいる。「今後は廃棄タイヤのリサイクル技術が、バイオマス原材料と同じく基幹技術になる可能性があり、当社としても研究開発に注力したい」と話していた。

 50年に現在と同じ性能のタイヤを、サステナブル原材料100%で製造した場合の価格については、「いまの段階ではいくらといえないが、現在と同等めざして進めていきたい」(村岡清繁・常務執行役員)という。環境意識の高まりでプラスチック原料の需要が後退すると、副生成物であるタイヤ向け合成ゴムの原料も生産されなくなるとの見方がある。サステナブル原料が代替になるかは「(円滑に移行できるか)時間軸が微妙で、原材料メーカーの動向に注視している」(山下文一・執行役員サステナビリティ推進本部長)という。

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