神戸市、保健指導に国内初の「SIB」で資金調達 糖尿病性腎症の悪化予防

 神戸市は20日、患者100人を対象に保健指導によって糖尿病による腎臓病の悪化を予防する事業について国内初のソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)で資金調達すると発表した。保健指導を担当する民間企業が必要とする費用を、金融機関や投資家が最初に負担。保健指導の成果に応じて神戸市が事後的に支出することで、金融機関や投資家の収益が変動する枠組みだ。神戸市にとっては支出の効率化や平準化につながる。(図はSIBの一般的な枠組み=発表資料より)

20170721SIBの一般的な枠組み

 資金調達は三井住友銀行とSMBC信託銀行が担当する。SMBC信託は債権を分別管理する保管機関(カストディアン)も務める。初期費用と諸費用に相当する約3000万円を調達し、まず保健指導を担当するDPPヘルスパートナーズ(広島市南区)などが資金を受け取る。DPP社の過去の保健指導の実績に照らすと、事業期間の6カ月と評価期間の2年6カ月を経過した3年後までに神戸市の支出が約3150万円程度、投資家へのリターンは5%程度になるとみられている。

20170721記者会見SIB

 一方で向こう患者100人について、人工透析が必要になるなど症状が悪化した際に比べ、向こう10年間の医療費削減効果は1億円を上回るとみられる。腎臓疾患のある患者への支援は今後も継続するが、従来の保健指導などは成果と支出が連動していなかった。神戸市の久元喜造市長(写真中央=神戸市が公開した動画より)は20日に開いた記者会見で「ある意味で実験という要素があることは否めない」とするが、「医療費をどう抑制するのは社会的課題」と指摘。さらに快適な暮らしという観点で、住民の健康増進が重要であるとも強調した。

 今回の枠組み全体の調整を担当した社会的投資推進財団(東京都港区)の青柳光昌代表理事は、「さまざまな課題に対して、民間だけでも行政だけでも成果が出づらい中、多くの関係者が一緒に取り組む枠組みになったことで社会的な意義がある」と強調した。

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