老舗パン店の新業態、循環型経済の「核」めざす 「日々ケルン」摂津本山駅南に

20210901野菜のバリエ

 1946年創業の老舗パン店「ケルン」(神戸市東灘区)は4日、新業態「日々ケルン」の1号店を神戸市東灘区のJR摂津本山駅南側にオープンする。おいしいパンを作って売ることにとどまらず、「パンで社会課題を解決する」のが新店舗のねらい。規格外品を選別せずに神戸近郊の新鮮野菜を販売するタベモノガタリ(神戸市西区)や、児童労働などの搾取を伴わないフェアトレードのコーヒー豆を輸入するLANDMADE(ランドメード、神戸市中央区)と連携。人権や社会・地球環境に配慮した消費行動「エシカル消費」の喚起を通じて、地域の「サーキュラーエコノミー(循環型経済)を構築する」とケルンの壷井豪社長(2枚目の写真)は意気込む。

 日々ケルンへの思いを詰め込んだ商品が「野菜のバリエ」(税別200円、1枚目の写真)だ。神戸産の小麦を使ったフォカッチャ風の生地に、神戸産の野菜をトッピングした。地産地消を徹底しただけでなく、トッピングする野菜はレンコン、ナス、オクラといった「市場に多く出回っているため、かえって廃棄につながりやすい野菜」(壷井社長)を選び、食品ロスの削減にも寄与する。そこに、おいしくするための「匠の技」を投入し、野菜に合う生地を2カ月かけて開発した。壷井氏は「1皿の料理を作るようにして考えた」「生地と野菜のハーモニーをぜひとも味わってほしい」と、味にも自信たっぷりだ。

 新業態を立ち上げた背景には、壷井氏の「パン屋はパンだけを売る時代ではなくなったのではないか」という問題意識があった。手軽に買えるパンはたくさんあるし、おいしいパンもたくさんある。それでもパンを売る店が存在する意義を突き詰めると、「この店があって助かった、この店があることでいい街になった、と言われる店を作る」ことへの意欲が湧いてきたという。SDGs(持続可能な開発目標)の制定も追い風になり、地域の循環型経済の核として機能することが、新店舗の目標だ。

20210901ケルン壷井社長

 店内で焼き上げたパンのほか、タベモノガタリが供給する野菜、ランドメードの豆を使った持ち帰り用のコーヒー、地元野菜などを使ったアイスクリーム(9月は淡路島産の高糖度トマト「プチぷよ」を使ったアイス)なども販売。店舗中央にパイプを組んで配置したパン棚は取り外し可能で、店内を広く使えるようにした。月に2回程度は専門家を招いて、店内で企業や個人向けのSDGsに関するセミナーなどを開催する計画もあるという。営業時間は午前8時〜午後8時、定休日は毎週月曜日と第2・第4火曜日だ。3日までプレオープンで、一般の来店客向けには午後1時から販売する。

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