(解説)株大幅安、アフガン情勢受け売りに拍車 日経平均は一時500円安

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 16日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、下げ幅は一時500円を超えた。国内では新型コロナウイルスの新規感染者数が1日に2万人を超えるといった水準で推移していることで、対策を実施するため景気回復が抑制されるとの警戒感が高まった。加えて海外ではアフガニスタン情勢の急変を受けて、外国為替市場で円買い・ドル売りの動きが加速。一時1ドル=109円台前半に円高・ドル安が進み、輸出企業が多い日本株への売りに拍車をかけた。

 新型コロナの感染増加は先週から断続的に売り材料とされており、医療体制のひっ迫も指摘されている。これまで日本が実施してこなかったロックダウン(都市封鎖)について言及するメディア等も表れた。ただ菅義偉首相がロックダウンの対策としての有効性に否定的な見解を13日夜に示していたこともあり、感染対策に「政府に打つ手なし」といった見方が広がりやすかった。

 加えて16日朝には、アフガニスタンの反政府武装勢力「タリバン」が首都カブールを掌握し、アフガン政権が事実上崩壊と伝わった。欧米メディアを転電する形で国内メディアも一斉に報道した。アフガニスタン情勢が急変した背景には同国からの米軍撤退があることから、世界の投資家が何らかの形でリスク回避の手を打つとすれば「ドル売り」に動きやすかった。ドルは先週末以降、対円だけでなく対ユーロでも下落した。

 株式相場の地合いがそれほどよくなかったということもあるだろう。前週末の米株式相場は小幅に上昇したとはいえ、上値の重さが目立っていた。8月の消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)70.2と10年ぶりの低さ。国内でも西日本を中心とした豪雨で災害も発生しているうえ、警報級の大雨がまだ続くとの予報が出ている。積極的に株式相場の上値を追える環境ではないとの見方も広がった。

 年後半には「コロナ後」「リベンジ消費」といった期待感が日経平均が3万円に到達した根拠だとすれば、そこからはほど遠い情勢になったといえそうだ。「コロナ後」は必ずやってくるとはいえ、そこまでの時間は遠のいたと考えるなら、投資戦略もいったん考え直す必要があるだろう--。そうした見方は、日経平均があと500円強下落して年初来安値を更新するようなら、一段と強まるのではないか。

(神戸経済ニュース編集長 山本学)

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