神戸市、小原副市長が就任「新型コロナ対策に万全の体制」 記者会見
- 2021/07/02
- 03:49
1日付で就任した神戸市の小原一徳副市長(写真)が同日、記者会見した。小原副市長は保健、福祉関係の分野を担当した経験が長く、昨年3月に神戸市で最初に新型コロナウイルスの感染者が判明した際には、保健福祉局長として記者会見した。担当は6月30日付けで退任した恩田馨・前副市長の分担をそのまま引き継いだ。
健康局も小原氏の分担で、ワクチン接種関係も担当。小原氏は「市民生活を取り戻すためにも、ワクチン接を進め、新型コロナ対策に万全の体制をとっていく」と話していた。恩田馨前副市長の退任に伴う記者会見は、日程が折り合わなかったことなどから開かれなかった。小原氏の記者会見での主なやりとりは以下の通り。
--目先の最大の課題である新型コロナウイルス対策にはどう取り組むのか。
「いま神戸市を挙げて対応が求められているのは、ワクチン接種を含む新型コロナ対策だと考えている。2020年の3月3日に市内で第1例の患者さんが発生した時、当時の保健福祉局長として記者会見した。当時とは状況がものすごく変わっている。特に患者の発生数が『第4波』においては大きく、市民生活に影響をおよぼした。一方で、いまはワクチン接種が順調に進んでいる。こうした状況をふまえ、市民生活を取り戻すためにもワクチン接種を進め、新型コロナ対策に万全の体制をとっていくのが重要だ。市内経済への影響も大きいだろう」
「神戸市は重症者専用の臨時病棟設置や、ワクチン接種での歯科医師の起用など、いち早く先駆的な新型コロナ対策に取り組んできた。今後も力を緩めずに、取り組んでいく必要があると考えている」
--現在の神戸市のコロナ対策で足りないと考えていることはあるか。
「コロナ禍は全世界の人にとって未経験のできごと。結果的に振り返ってどうこう、ということは確かにあろうかと思う。だが、その時点、その時点で可能な限り、神戸市も取り組んできた。今後も、いろんな変化を想像しながら、さまざまに出てくる諸課題に対応していきたい」
--新型コロナ以外にも課題が多いのでは。
「福祉の現場は過去に経験したが時間がたっているし、文化・スポーツの分野は未経験で詳しく知らない状況だ。これから、いろんな課題を教えていただきながらみなさんと議論して、課題解決に向けた対策を取っていきたいと思う。今回は新型コロナ対応が前面に出ているが、それ以上に高齢者福祉、障害者福祉など福祉は日々の生活に欠かすことのできないサービスを担っている。こういった分については着実に市民サービスを提供していきたい。この体制を確保するのが責任だと思う」
「市長のほうからは『これまでの経験を生かして仕事にはげんでください』という話をいただいた」
--3人とも市役所出身の副市長になるが、何か変わるのか。
「それぞれ私も含め、それぞれ違った分野で経験を積んでいる。それぞれの特徴、個性を生かして市長のお考え、市役所のめざすべき方向性をいかに市民に浸透させていくか、3人がそれぞれの特徴を生かしてがんばっていく必要があると思う」
--副市長になって、これだけはやっておきたいという大仕事はあるか。
「いますぐに、大きなテーマでこれを、と思うものは、すぐには思いつかない。どの部署でも、これだけ課題が複雑で、一朝一夕に解決に結び付くような名案がない状況では、やはり職員のみなさんといろんな意見を交わして、一緒に悩んで、根本的な解決にならない場合でも対処方針を見つけ出していく。こういった姿勢でこれまでもやってきた。副市長になって立場が変わっても、このスタイルは今後も継続していきたい。職員のみなさんには、できるだけ生の声、素の声を聞かせてほしい」
「幸いなことに職員の多くは、当事者意識を持って仕事に取り組んでいる。そうした声をできるだけ吸い上げて、方向性を1つにまとめて前へ向かっていければいいかなと思っている」
--出身はどこか。神戸市を志したきっかけは。
「出身は加古川だ。40年近く前の話だが、やはり神戸の街に対するあこがれがあった。あこがれの神戸で働いて、できれば多くの人に役立ちたい、といった思いがあった。学生時代のことで、あまり深くか考えていなかったのかもしれないが、そうした漠然としたイメージで神戸市に就職したんだと思う」
--仕事をするうえでのモットーは。
「モットーというほどのものはない。日々くじけそうになるけど、後で振り返ると非常に多くの人に助けられたと思うことは多い。困ったときには『誰かに支えてもらっている』という思いを持つようにしている」
--ワクチンの供給スケジュールに不透明感が強まっている。
「詳しいことはこれからだが、神戸市においても希望量を下回るワクチンの供給になっている。非常に大きな課題だと思っている。国においては河野(太郎)大臣も今週中に方針を出すというし、国には追加要望はしている。だが、まだ具体的な情報が得られていない。今後については健康局を中心に精査をしているが、現時点では具体的に申し上げられることはない」
--就任の打診を受けたのはいつごろか、その時の心境は。
「6月の前半だったと思う。市長から直接だった。びっくりした。それまでは短くても着任から異動まで2年だった。それが新型コロナが発生して以降、保険福祉局長は1年で異動になるし、その後の健康局長は3カ月、次の行財政局長になって丸1年で退職てして副市長という形になった。コロナ以降、ものすごく人生がスピード感を持って変化した。渦に巻き込まれるというか、その中で生かされているんだなと思う。そんな中で(副市長就任の)打診を受けると驚きとともに、まず不安が頭をよぎった。いまでも不安でいっぱいというのが正直なところだ」
--自身のワークスタイルをどう見ているか。
「私自身は小さい時から引っ込み思案で、前に出ていけないタイプだった。だが仕事の関係上、前に出なくてはいけない場面が多々あるので、そこは役割、役目として一生懸命に取り組んできた。どういったスタイルを求めるかということでは、状況に応じて変わってくると思う」
「今回のような新型コロナウイルス対策のような道の分野に取り組んでいくには、積極果敢にせめていく姿勢がないと、諸課題には対応できないだろう。そうした中でも、少し用心深く、こういうところが気になる、ここに気を回さなくては、といった役割をはたす人も必要だ。そうした人の配置のバランスの中で事業を進めていくのが、全体として最適な結果に結びつくのではないかと思う」
「引っ込み思案な私自身も前に出ることが求められた際には、求めに応じて前に出ることになる。自分が得意かどうかは別として、そこで求められる役割に最大限取り組む職員の集合体が、一番いい結果を結ぶのではないかと思う」
--久元喜造市長は「市役所改革は道半ば」との認識だ。
「市長の考えや、市役所がめざすべき方向について、いかに職員に浸透させるのか。勤続年数の長い職員もいるし、時間のかかる分野はあると思うが、3人の副市長は浸透させる努力を続けていくことが大事だ」
「一方で、今回の新型コロナをきっかけに『働き方』は大きく変化してきたと思う。これまで実戦が乏しかったテレワークや研修に加え、職員の採用・研修では特に新しい取り組みが進んでいる。働き方が変われば、それに連なる意識も変えていく。こうしたことが市役所改革に影響すると思うので、ここには力を入れていきたい」
小原 一徳(おはら・かずのり)氏 1984年に関学大経卒、神戸市入庁。2014年に須磨区長、17年に経済観光局長、20年に行財政局長。兵庫県出身。59歳。
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