神戸市バス「標高差と利用実績に相関」 データに基づく路線網・有識者会議
- 2021/06/24
- 01:44
神戸市が23日に開いた「データに基づく持続可能な路線バス網の構築に向けた有識者会議」(座長・土井勉・グローカル交流推進機構理事長)の最終回である第4回会議では、これまでの議論や分析に基づく報告書の案を示した。報告書案には沿線環境に関するデータや利用実績など各種データによる「相関分析」「主成分分析」の結果を掲載。標高差がある南北の路線ほど、利用実績が大きい傾向があることなどを客観的に示した。年度内をめざして神戸市が作成する、新たなバス路線網を設定する際などの指針「基本的な考え方」のための参考資料にする。(写真は神戸市バス=資料)
相関分析によると標高差のほか、沿線人口と利用実績は高い相関性が確認できたほか、周辺施設の数、周辺流入人口なども利用実績と正の相関(一方が増えれば、もう一方も増える関係)があることが確認できた。19〜64歳の利用実績に限ると「通勤利用」「鉄道乗り継ぎ」に、65歳以上では「買い物通院利用」「昼間時間帯の利用」に正の相関が確認できたという。半面、循環路線は利用実績が低調であることが明らかになった。運行時間が長い路線はすべて赤字であることも分かった。
主成分分析から得られた示唆として盛り込んだ内容のうち、利用実績などの成果指標が低い路線について、「新長田駅付近に効率的にバスを展開できる場所がないために循環形状の路線が設計され、運転時間が長くなった路線が複数ある」との指摘も盛り込んだ。新長田駅の南側にバスターミナルの整備が必要であることを、データ面からも裏付けた。このほか利用状況を判断するうえでは乗車時の快適性などを考慮して、最も混雑している時に乗車中の乗客数「最大車内人数」が最も適しているとも結論づけた。
人口減少や高齢化などを背景に、神戸市バスの利用者数は減少傾向にある。経営状況は路線全体で赤字のうえ、路線別に見ても全87路線のうち61路線と約7割が赤字とあって、放置すれば経営が行き詰まる公算が大きい。運転手の人手もひっ迫している。神戸市バスでは今年3月に始まった、乗車時と降車時の両方にICカードをタッチする「2タッチ化」によって、さらに乗客の動向を知るデータが入手しやすくなった。神戸市は新たに市バスの混雑情報の提供なども検討するなど、より多くの利用を促し、路線網の維持をめざす考えだ。有識者会議は報告書の内容を精査し、近く神戸市に提出する。
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