P&Gジャパンと神戸市、三宮に「ナッジ理論」活用のゴミ箱 包括連携協定

20210609PG神戸市協定

 日用品世界大手P&G(米オハイオ州)の日本法人であるP&Gジャパン(神戸市中央区)と神戸市は9日、「産官学連携でのイノベーション創出」「環境の持続性(サステナビリティ)」「緊急時の支援」「人材育成」「働き方改革」の5分野での連携を盛り込んだ包括連携協定を結んだ(写真)。P&Gジャパンが日本の自治体と包括連携協定を結ぶのは初めて。協定の第一弾として、表記の工夫で心理的に働きかけて行動を促す行動経済学の理論「ナッジ理論」を活用した、仕掛け付きゴミ箱を設置する実証実験などに取り組む。生活や環境に関する幅広い分野で連携し、住民の暮らしの向上に取り組む。

 P&Gジャパンのスタニスラブ・べセラ社長(写真右)と、神戸市の久元喜造市長(同左)が9日午後に記者会見して発表した。P&Gジャパンと神戸市はこれまでも人材育成などで連携してきたほか、P&Gが「こうべ医療者応援ファンド」にも寄付するなど、P&Gジャパンが神戸市内に本社を移転した1993年以来、地元の有力企業として行政と連携してきた経緯がある。今回、さらに連携の幅を広げて具体的な成果につなげたい考えだ。

 久元市長は「知見をいただくだけでなく一緒に行動することが、神戸市がめざすSDGs(持続可能な開発目標)の具体化につながる」と話し、包括連携協定をきっかけとした多様な共同事業への期待を語った。ベセタ社長は「神戸市の包摂的な風土が、多様なバックグラウンドを持つ当社の社員にとって、イノベーションのエンジンになっている」と地元自治体と連携する意義を強調した。

 ナッジ理論を活用したゴミ箱の設置は、4月に開設した神戸市の産官学連携拠点「アンカー神戸」の事業として実施する。行動経済学の理論を、街の美化に応用するのがねらい。神戸市とP&Gに加え、神戸市内や阪神間の大学に通う学生10人が参加。行動経済学が専門の黒川博文・兵庫県立大講師が指導する。6月中旬から、効果的にゴミを回収できるゴミ箱の形状などについて検討を始める。9月ごろに三宮では「アモーレ広場」に数カ所、六甲山では摩耶山掬星台などに数カ所の設置を計画している。

 このほか生物多様性保全活動の一環としてP&Gは、神戸市が里山整備の際に実施する植林に参加する。容器に使うプラスチックの削減や、革新的なリサイクルの取り組みも神戸市内で展開したい考えだ。環境に関する行動を後押しする神戸市のスマートフォン向けアプリ「イイことぐるぐる」とP&Gの環境配慮型商品との連携や、P&Gの環境持続活動に神戸市が行政として初参加するなども順次具体化していく。べセラ社長は「初めての連携協定だけに、まずこれら(神戸市との取り組み)を成功させたい」と意欲を見せていた。

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