キッチンカーの団地派遣「民営化」6日から 神戸市北区や垂水区で昨年実証実験
- 2021/05/06
- 00:38
スーパーやコンビニエンスストアなどから離れた住宅団地(ニュータウン)の辺縁部などに、厨(ちゅう)房設備を備えて飲食物を販売する車両「キッチンカー」を配置する事業が神戸市北区と垂水区の4カ所で6日に始まる。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、遠出を控える住民らの食卓を多彩にすると同時に、外出自粛で来店客が減少した飲食店の販路拡大という「一石二鳥」をねらい、神戸市が昨年に実証実験。双方にメリットがあることが確認できたことから神戸市が事業主体から降り、公募したキッチンカーの配車サービス会社が改めて事業を開始する。
サラリーマンの昼食需要をねらって大阪・都心のオフィス街などに出店していたキッチンカーは、昨年春に新型コロナの緊急事態宣言で在宅勤務が増えると、オフィス街での売上高が急減。都心部の飲食店の需要も後退していた。半面、住宅地では昼食の需要が大幅に増加。このため食品が買える店舗が充実していない地域に、飲食店などがキッチンカーを新たに出店することで、出店する飲食店・キッチンカーと近隣住民の双方にメリットがあると、神戸市が実証実験を企画した。
昨年5月に2カ所、9月からは6カ所で実証実験した。複数の場所に配車することでキッチンカーを循環させることができ、出店場所の地元では多様なメニューが楽しめるというわけだ。昨年9〜12月に実証実験した6カ所のうち北区の東有野台、中里町、君影町、垂水区の多聞台では、持続的にキッチンカーの収益が上げられると確認。これを受けて6日からは、キッチンカーを使った開業支援や配車などを手がけるMellow(メロー、東京都千代田区)が事業主体になる。
昼食時間帯だけ営業できるオフィス街と異なり、住宅地では昼食、夕食と2回の食事の需要が発生しているほか、子供と迎えにきた親たちによる「ついで買い」の需要なども捉えることができる。このためキッチンカーの売上高はほぼ恒常的にオフィス街での出店を上回り、日によっては2倍超になることも。アンケート調査などで地元の評価も高かった。このため出店管理を担当するメローと自治会などが覚書を結び、予定表の配布など広報や出店場所の運営などで協力し、できるだけ出店を継続できるようにする。
神戸市は「民営化」する4カ所でも、引き続き市有地を出店場所として提供するなどで支援する。昨年秋に実証実験したうち西区秋葉台と美穂が丘では、出店場所に住民がたどり着きにくいといった課題があったことから、今年度は近くで場所を変えて実証実験を続ける。神戸市はキッチンカーの派遣が人口減少を背景とした、都市の「スポンジ化」(人口密度の低下に伴う都市機能の低下)対策にもなるとみる。ニュータウンでスーパーなどが遠い、新たな出店にふさわしい場所はあるか引き続き調査も継続する計画だ。(写真は神戸市北区東有野台に出店したキッチンカー=神戸市提供)
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