飲食店の「準備中」をテレワークに貸し出す実証事業 スペースマと神戸市
- 2021/02/08
- 02:29
東証マザーズ上場のスペースマーケットと神戸市は、飲食店が「準備中」になる空き時間の客席をテレワーク向けに貸し出す実証実験を始めると発表した。神戸市内にある中小規模の飲食店で、ネット利用環境を提供できる店舗を対象に、スペースマのサービス利用料の半額を同社と神戸市で折半助成する。通常は飲食店が支払うサービス手数料は30%だが、これを15%にする。一方でテレワークでの利用料金は一律で1時間100円とする。(図は神戸市の配布資料より)
外出自粛や営業時間の短縮要請で、売上高が落ち込んだ飲食店を支援するのがねらい。スペースマは空きスペースの時間貸し仲介サイトを運営する。モデルハウスやカフェなどを、一時的に会議室やパーティー会場、撮影場所などとして使うといった場所の貸し借りを仲介するが、最近ではテレワークの場所を求める利用者が増えているという。こうした自宅と気分を変えて在宅勤務に取り組みたいという需要を、飲食店支援につなげることで同社と神戸市が一致した。
実証事業の期間は3月末まで。テレワークの時間帯に、利用者向けの飲み物や軽食などを提供するかは各店舗の自由とした。ただ利用者には水または茶の持ち込みを認める。空きスペースの利用料金(実証事業の期間中は1人1時間85円)に加え、利用者が飲食すれば、その分が飲食店の収入になる。希望する飲食店向けには、オンライン説明会を開催して利用方法などを伝える。
神戸市が事前に飲食店の需要を調査したところ、すでに居酒屋を展開するワールド・ワン(神戸市中央区)と、喫茶館英国屋三宮センター街3丁目店(神戸市中央区)がテレワーク向けの空席貸し出しを希望している。課題は空席の貸し出しを希望する店舗が、都心部や繁華街に集中するとみられること。それでも大阪の会社に勤める人が、自宅に近い三宮などの飲食店でテレワークに取り組めば、府県境を越えた移動を抑制する効果があるとはいえそうだ。
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