日銀神戸支店「持ち直しのペース鈍化」据え置き 緊急事態宣言の影響ばらつき

 日銀神戸支店が5日発表した管内金融経済概況では、兵庫県の経済情勢についての見方を据え置き、2カ月連続で「厳しい状態にあり、足もとでは持ち直しのペースが鈍化している」とした。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が再発令され、個人消費の増勢はより鈍化しやすい情勢になっている。特に飲食店の収益には大きな影響が出ているという。半面、世界的な自動車生産の回復などで、県内の生産は「持ち直している」との見方を示す。緊急事態宣言の影響は業種や企業規模でばらつきが見て取れるという。

 記者会見した日銀神戸支店の長江敬支店長は、聞き取り調査などから「飲食店は新型コロナの感染第3波や緊急事態宣言を受けて、客数や売上高が大幅に減少している」と指摘した。売上高などの推移は「これまで縮小傾向にあったマイナスが、再び拡大している」のが現状。飲食店や宿泊など新型コロナの影響が大きく出た業種では、一部で資金繰りに厳しさも出ているようだ。ただ金融機関は資金繰り支援に前向きで、信用収縮などにつながる情勢ではなさそうだ。

 一方で、生産については「持ち直している」として、前月までの「徐々に持ち直している」から判断を引き上げた。国内外の自動車生産の回復を受けて、部品メーカーの生産も増加している。自動車関連ではロボットなどの生産用機械も伸びている。このほか中国向けを中心に、建機の回復も目立つ。兵庫県の鉱工業生産指数は発表されている2020年11月分まで、6カ月連続で上昇した。加えて、企業の設備投資は依然として高い水準だ。輸出も中国向けを中心に持ち直している。

 総じて緊急事態宣言の再発令について、長江支店長は「業種や企業規模によって影響にばらつきが出ているのが、昨年の緊急事態宣言のときと大きく異なっている」と説明。「昨年春は経済活動がほぼ全面的にストップしたが、今回は主として(飲食・宿泊など)対面型サービス業に集中して下押し圧力がかかっている」と指摘した。ただ現時点では回復が続いている製造業などにも、「影響が広がっていくことはないか、注意深くみていきたい」と強調していた。

 12月末時点の貸出金残高は前年同期比6.6%増の17兆5994億円と、引き続き高水準の伸びだった。新型コロナ関連融資の残高で増加が続いている。一方で、倒産件数も目立った増加が見られない。このため長江氏「県内企業の資金繰りは、引き続き維持されているとみている」と話していた。

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