六甲アイ沖に次世代物流ターミナル、「積み替え」で復権目指す 神戸港の将来像

20170519神戸港の将来像全景

 神戸市は19日午前に開いた神戸開港150年記念式典で、およそ30年後を見据えた神戸港の将来像(全体像=上の図、神戸市の発表資料より)を発表した。現在は埋め立て中の六甲アイランド沖に完成する新しい人工島で、多くの新技術を取り込んだ高効率の次世代物流ターミナルを整備することなどが柱。国内や東南アジアなどから集荷した貨物を米国向けの基幹航路に積み替える「トランシップ」で復権を目指す神戸港で、中核的な役割を担う施設を建設する。

 道具やセンサーなど多様な物をネット接続して情報収集する「IoT(Internet of Things)」や人工知能(AI)による業務運営や自動運転、ロボット技術の高度化などが今後30年で実用化されると想定。これらの新技術を積極的に取り込み、労働力不足への対応と高効率化を同時に実現する。後背地である神戸周辺や関西には、エレクトロニクスと海事技術の両面に豊富な産業集積があることから、ライバルであるシンガポールや香港と比べても競争力のある港湾施設が建設できるとにらむ。(下の図は次世代物流ターミナルのイメージ=神戸市の発表資料より)

20170519神戸港の将来像次世代物流ターミナル

 港湾施設の沖合展開によって空白になる既存の港湾用地は現在の倉庫街から、神戸市の住民とクルーズなどで神戸を訪れた観光客らが豊かに過ごせる生活空間に再開発する。既に再開発事業が完成した新港第1突堤に続き、第2突堤や同突堤が接する陸地側の基部などが当面の対象だ。第1突堤と第2突堤の間に加え、ポートアイランド・しおさい公園にはマリーナ(レジャー用船舶の基地)を整備。こうした水辺での快適で豊かな空間と、神戸の食など観光資源の活用でクルーズ船の誘致も強化したい考えだ。

 一方で、今回の「将来像」は施設の整備計画にとどめ、トランシップ貨物の比率や誘致するクルーズ客数など、数値目標は盛り込まなかった。将来像の検討には、神戸市長の諮問機関である神戸港港湾審議会(座長・黒田勝彦神戸大学名誉教授)に「神戸港将来構想研究会」を設置。2015年8月に検討を開始、議論の結果を18日に久元喜造神戸市長に答申として提出した。

 神戸ポートピアホテル(神戸市中央区)で開催した神戸開港150年記念式典では、秋篠宮さまはじめ約1000人の出席者を前に神戸市の岡口憲義副市長が「将来像」を説明した。神戸市は「将来像」について23日から意見公募(パブリックコメント)を実施したうえで長期的な将来構想として正式決定する。今後は将来構想を踏まえた個別の事業計画を、10年単位の中期計画や予算編成などに反映することになる。

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