神戸市本社の上場会社、ドーンが値上がり率首位 上昇22社・年間株価ランキング

20201230年間値上がり率

 2020年の東京株式市場では、神戸市に実質的な本社を置く47社のうち22社の株価が上昇した。最も値上がり率が大きかったのは、年末にかけて急速に上げ幅を拡大したドーン(2303)で、昨年末に比べて株価は2.1倍になった。シスメックスが66.5%上昇して2位、フェリシモが41.2%上昇して3位と続いた。日経平均株価の終値が2万7444円と31年ぶりの高い水準に上昇し、高値警戒感もくすぶる中で、上昇した銘柄は半分にも届かなかった。新型コロナウイルスと共存する「ウイズコロナ」時代に成長を期待できる業種かどうか、選別された形になった。

 47社のうち最も上昇したドーンは、12月10日朝に一部で「事件や事故、火災の現場に居合わせた人が110番通報する際、スマートフォンで撮影した映像も送ってもらうシステムを、警察庁が来年度から全国の警察で導入する」と報じられて以降に上げが加速した。10日以降も他のメディアによる同様の報道があると、上げ幅を拡大する展開。12月9日から12月24日の高値(3980円)まで11営業日で80%上昇した。ドーンは特にコメントなどを発表していないが、同社が兵庫県警に納入した映像通報システム「Live110」が全国に普及するとの見方が広がった。

 全国の警察で需要があれば、新型コロナの影響を受けずに成長できるだろう。一方で2位のシスメックス以下は、より直接的に新型コロナが収益の追い風になると見られた銘柄といえる。シスメックスは医療用の検査機器を製造する。さまざまな局面で活用できる血液検査の機器で、世界トップシェアだ。さらに川重(7012)との共同出資会社でPCR検査ロボットを開発。これまで米国の1社がほぼ独占していた手術支援ロボットも、日本メーカーで初めて発売した。3位の通販大手フェリシモは、外出を自粛する動きが広がる中で「巣ごもり消費」が業績を下支えした。

 5位に顔を出した表面加工のトーカロ(3433)は、半導体需要の増加を受けて半導体製造装置の部品への表面加工の需要が高まったのが手がかり。新型コロナの感染防止を目的として、世界的に在宅勤務に切り替える動きが広がった。このため新たなパソコンやサーバーの需要が伸びた。8位の神栄(3004)は、医薬品などを保管・輸送する際の温度・湿度管理に対応できるデータロガー(データ記録機)を子会社が21年1月に発売する。新型コロナ対策のワクチンを輸送する際に必要になるとの思惑で、急上昇する場面があった。

20201230年間値下がり率

 大きく下落した銘柄も、新型コロナが収益を直撃した銘柄だ。値下がり率が最も大きかったワールド(3612)は、新型コロナによる国の緊急事態宣言を受けて、全体の9割を超す約2300店が臨時閉店した。その後も外出自粛の影響で来店客数が減少。ネット通販の伸びでは補えない状況が、収益の先行き不透明感を誘う。スタジオアタオ(3550)も緊急事態宣言を受けて、一時は全店舗が臨時閉店した。住友ゴム工業(5110)やMORESCO(5018)、バンドー化学(5195)は自動車生産が低迷した影響を受けた。

 日経平均株価は年間では16%上昇したが、新型コロナの拡大をきっかけに下げて3月19日に1万6552円を記録した下落局面から、堅調に推移した銘柄と、戻りが鈍い銘柄で明暗を分けた。新型コロナと共存する「ウイズコロナ」で伸びる事業を選別する動きになったといえる。ただ、足元ではワクチンの実用化で経済が正常化するとの見方が広がりつつある。今後は出遅れた銘柄が巻き返すとの期待につながりやすい。そうすれば2021年は、20年の値下がり上位の銘柄にこそ関心が集まる展開もあるかもしれない。

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