久元神戸市長「新長田再開発はデフレとの戦いだった」 検証結果を発表

20201223新長田会見

 神戸市の久元喜造市長(写真左)は23日午前、1995年に発生した阪神淡路大震災で壊滅的な被害を受けた新長田駅南地区(約20ヘクタール)の再開発事業の検証結果を発表し、「新長田再開発事業はデフレとの戦いでもあった」と述べ、経済的に厳しい環境下での事業だったとの見方を示した。震災が発生した95年は、バブル経済崩壊から97年のアジア通貨危機に端を発する世界的な不況に向かう局面だった。経済・社会情勢が激変する中で、中長期的な時間を必要とする大規模な災害復興事業を決定したのは「当時としてはギリギリの選択だった」との見方を強調。結果として再開発事業で発生した多額の損失を神戸市の一般会計で負担することになったが、「やむを得ない支出だった」との認識を示した。

 同地区の再開発事業事業では23年度末の事業終了時点で、マイナス326億円の収支差(赤字)が出る見込みになった。このうち299億円は19年度までに神戸市の一般会計で補てん済み。この赤字の直接の理由は、地価の大幅な下落だ。再開発事業を、震災発生の2カ月後である95年3月17日に都市計画決定した後、96年にかけて用地買収を実施。その後は長引く不況で、最初の建物が完成した98年ごろには、土地を買収したコストに見合う価格で住居や店舗を販売できなくなっていた。加えて事業範囲が広く、期間が長期化したことで、用地買収や施設建設のために借り入れた資金の利払いもかさんだ。

 検証結果の詳細は、神戸市の有識者会議で座長を務めた兵庫県立大学の加藤恵正教授(写真右)が説明した。震災で自宅を失った人に、いち早く住宅を供給するという目的はおおむね達成したと結論づけた。半面、震災前と同程度の面積を確保した商業床は埋まらず、にぎわいのある街づくりには課題を残したと指摘した。住宅再建を優先した結果、この場所の地場産業だったケミカルシューズ産業は、地区外の被災者向け復興工場にすべて流出する結果になった。商業床の規模縮小などを、機動的に検討する体制が必要だったとも指摘した。

 一方で、地区内の建築物はすべて耐震、耐火の基準を満たすものになった。今後の新長田は、再開発事業で作った生活の基盤を「使い尽くす、ということにつきる」(加藤教授)。神戸市は今後、新長田駅前のバスターミナル整備に加え、再開発事業でできた地下通路のリニューアルなどを進める計画だ。国道2号線を横断する地下通路「大橋地下道」をイベントの開催や企画展示などで積極的に活用。商業施設「アスタくにづか5番館」で現在は使われていない地下には卓球場を開設する。計画している神戸市営地下鉄西神・山手線の新長田駅との相乗効果もめざす。

 神戸市は21年1月下旬にも検証結果の最終報告書を公表する予定だ。

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